溶媒 X から Y へ移すと、4 つの化学種はどれも
予想 溶媒を替えると、生成物の割合はどうなるか
問い 1同じ分子でも、なぜ環境で性質が変わるか
今日の例題・演習・図の数値は、説明のために選んだ値(文献の値と書いたものを除く)
1 段目:溶媒 X と Y での比のちがいを、平衡定数で表す
まず、
反応物 1 つが生成物 1 つに変わる反応、298 K
溶媒和:溶媒分子が化学種のまわりに並び、その
同じだけ下がれば比は同じ。生成物側が多く下がれば、生成物が増える
前のスライドの (b) で、下がった分に名前を付ける
斜めの矢印:各溶媒の中の
縦の矢印:移行自由エネルギー
X から Y へ移すときの
PhOH + Py ⇌ PhO⁻ + PyH⁺。溶媒 X から Y へ移すときの
(1) Y での平衡定数は、X での何倍ですか
(2) Y で、生成物が反応物より多いと言えますか
解き方5.7 kJ/mol で 10 倍 → 20 なら約 3000
① 求めるもの
② 式と前提
③ 代入
(1) 約 3200 倍 (2) 言えない(
④ 意味同じ 3200 倍でも、
2 段目:溶媒がイオンの
ボルンの式で、
溶媒分子の一つ一つを見ずに、一様な誘電体(連続誘電体)とみる
溶媒がイオンの
HA + B ⇌ A⁻ + BH⁺。溶媒 X から Y へ移すときの
HA + B ⇌ A⁻ + BH⁺。溶媒 X から Y へ移すときの
5.7 kJ/mol で 10 倍 → 6 kJ/mol なら 10 倍を少し超える
問 1 Y での
① 求めるもの
② 式と前提
③ 代入両側の和の差:
約 11 倍。Y で多いのは反応物側
④ 意味
HA + B ⇌ A⁻ + BH⁺。溶媒 X から Y へ移すときの
問 2 図は、半径 0.20 nm の陰イオンの溶媒和の
① 求めるもの移した先 − 元の
② 読み取り図の値:
③ 代入
④ 意味20 を超えると差は 1 桁小さい
HA + B ⇌ A⁻ + BH⁺。溶媒 X から Y へ移すときの
問 3 問 2 の陰イオンを、比誘電率 20 の非プロトン性溶媒から 80 のプロトン性溶媒へ移すと、測った値は
① 求めるもの測定と予測のずれと、その理由
② 式と前提ボルンの式に、水素結合は入らない
③ 代入
約
④ 意味比誘電率が高い溶媒どうしの大きな差は、水素結合を疑う
要点:誘電率が高い溶媒どうしでの小さな陰イオンの違いは、主に水素結合から来る
3 段目:同じ考え方を pKa に使う。
溶媒はそのままで、フェノールに分子内水素結合する置換基を入れると、pKa はどちらへ動くか
フェノール型の酸 HA(pKa
改変 1 は A⁻ の側だけ、改変 2 は HA の側だけ、
フェノール型の酸 HA(pKa
改変 1 は A⁻ の側だけ、改変 2 は HA の側だけ、
問 1 より強い酸になるのは、改変 1・2 のどちらですか
① 求めるもの
② 式と前提
③ 推論改変 1:
改変 2:
改変 1
④ 意味A⁻ の側を下げると強い酸、HA の側なら弱い酸
フェノール型の酸 HA(pKa
改変 1 は A⁻ の側だけ、改変 2 は HA の側だけ、
pKa は 1 より少し大きく動く
問 2 改変 1 と改変 2 の pKa は、それぞれいくつですか
① 求めるもの改変 1・2 の pKa(元は 8.0)
② 式と前提pKa の変化 =
③ 代入改変 1:
改変 2:
改変 1 は約 6.9、改変 2 は約 9.1
④ 意味6 kJ/mol で、pKa はおよそ 1 だけ動く
フェノール型の酸 HA(pKa
改変 1 は A⁻ の側だけ、改変 2 は HA の側だけ、
問 3 改変 3 の pKa はいくつですか。改変 1 より強い酸ですか
① 求めるもの改変 3 の pKa
② 式と前提pKa の変化 =
③ 代入
④ 意味A⁻ の側だけを見ない。両側が同じだけ下がれば、pKa は変わらない
要点:pKa の動く向きも量も、A⁻ と HA の下がり方の差で決まる
S.-O. Shan, D. Herschlag, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 1996, 93, 14474(DOI: 10.1073/pnas.93.25.14474)
問い 1:同じ分子でも、なぜ環境で性質が変わるか
| 節 | 内容 |
|---|---|
| §3.1 | 溶媒の役割 |
| §3.2 の発展の箱 | 溶媒和の |
| §3.3 | 活動度(基礎の確認の |
| §3.5 の小見出し | 「比誘電率の一覧の読み方」:対数目盛り、溶媒の一覧 |
| §3.5 の発展の箱 | ボルンの式の導き方 |
| §3.5 | ボルンの式の予測と実際のずれの値 |
| §3.5 の小見出し | 「実在のイオンで確かめる」:実在のイオンの実測値 |
| §3.6 | 標準状態、単一イオンの値の参照規約、溶媒の違う pKa の比べ方 |
| §3.7 の研究の実例 | サリチル酸の分子内水素結合、アミンの塩基性 |
この表の内容は読んでおくとよいが、小テストには出さない(小テストはスライドの本編から出す)
二つの配座と、それぞれから出る生成物(模式)
次回の問い
安定な生成物が最も多くできるとは限らないのはなぜか
今日の復習 演習 A・B、小テスト第 3 回 次回の予習 教科書 §4.1〜4.3
| 前提 | 崩れると | 確かめる方法 |
|---|---|---|
| イオンは対をつくらない(自由イオン) | 誘電率の低い溶媒ではイオン対ができる。その平衡も入れて考える | 濃度を変えて、平衡定数が変わらないか測る |
| 標準状態と、単一イオンの参照規約(イオン一つずつの値の決め方)をそろえる | 文献の値を混ぜると基準がずれる | 電荷の釣り合った組(反応全体)で比べる |
| 溶媒を一様な誘電体とみる(ボルンの式) | 隣の溶媒との水素結合が入らない | 誘電率がどちらも高い溶媒どうしで比べる |
| 溶媒の違う pKa を比べるときは、サイクルで両側をそろえる | 基準(溶媒中の H⁺)が違い、酸の強さを取り違える | HA・A⁻・H⁺ の移行を測る |
Kelly ほか, J. Phys. Chem. B 2006, 110, 16066;2007, 111, 408。半径は Shannon 1976、分子は体積の球(計算)
E. M. Arnett ら, JACS 1972, 94, 4724(DOI: 10.1021/ja00768a048);D. H. Aue ら, JACS 1976, 98, 318(DOI: 10.1021/ja00418a002)。値は NIST・CRC の評価値
水素結合の H があるかで、溶媒を分ける(p.14 の 2 つ目の箇条の例)
発展 9 の組(メタノールとアセトニトリル)で、ボルンの式と実測を比べる
C. P. Kelly ほか, J. Phys. Chem. B 2007, 111, 408(kcal/mol を換算)。単一イオンの値は H⁺ の基準に依存する
PhOH と Py を同じ濃度
p.9 の 4 本の矢印を四角に並べ、一周する
p.19 の酸で、pH を上げると A⁻ + H⁺ の側の
p.20 の pKa の動きが、溶解度と膜の透過に効く。T. cruzi(シャーガス病の原虫)の増殖を抑える化合物
B. Over ほか, J. Med. Chem. 2014, 57, 2746(DOI: 10.1021/jm500059t)。割合はこちらの計算。前臨床の化合物
時間: 0.5 分 時間が足りなければ:省く順は ① 演習 A の問 2(図の値を引くだけ)② 演習 B の問 2 の改変 2(改変 1 だけ)③ 比の変化のスライドを 1 分に ④ 研究の実例を 1 分に。
時間: 2.5 分 問いかけ:ノートを見ずに、と言ってから 1.5 分考えさせ、答えを口頭で言う。 言うこと:1 は、等価な極小(gauche)が 2 つあるので重みも 2 つ足す(+R ln 2)。298 K で 2 つ合わせて 37 %。最安定構造だけでは足りず、分布で考える。 言うこと:2 は、開いた形 → 閉じた形で ΔH = −4.0 kJ/mol(水素結合の分だけ H が低い)。でも単結合 2 本の向きの組が 9 → 1 になり、−TΔS = +5.4 kJ/mol。298 K ではこれが ΔH の −4.0 を上回り、ΔG = +1.4 kJ/mol で閉じた形は少ない側(36 %)。どちらが多いかは ΔH だけでなく ΔG で決まる。 言うこと:今日は、比べる両側の G を「溶媒」が別々に変えることを見る。溶媒の並び方も H と S に入る。
時間: 2.5 分 見せ方:上の反応を指す:フェノールの O–H の H(橙)がピリジンの N に移り、フェノキシドとピリジニウムができる。以後は PhOH・Py・PhO⁻・PyH⁺ と略す。 見せ方:下の絵を指す:印 1 つが反応物か生成物の 1 組。溶媒 X では反応物が多いとする。知りたいのは、溶媒 Y でこの割合がどうなるか。 言うこと:X と Y は特定しない二つの溶媒。どの化学種も、X から Y へ移すと G が下がる(溶媒との相互作用で、より低くなる)とする。 問いかけ:三択から予想を心の中で選ばせる(書かせない・集めない)。答え合わせは「問い 1 の答え」のスライドで、ここでは言わない。 言うこと:選択肢の理由を口で添える:1 は「4 つとも下がるから」、2 は「イオンができるから」、3 は「両側の下がり方の差しだい」。
時間: 0.5 分 見せ方:上の帯を指す。第 I 部(構造・集団・環境)の 3 回目で、第 I 部の最後。 言うこと:第 1 回の「存在比は二つの G の差」と、第 2 回の「ΔH と ΔS を分ける」を使う。詳しい導き方は教科書の第 3 章で読める。今日は考え方に絞る。 言うこと:最後の一行:例題・演習の数値は実在の分子の値ではない。
時間: 2.5 分 見せ方:上の反応式を指す:p.3 と同じ 4 つの化学種。以後は PhOH・Py・PhO⁻・PyH⁺ と略す。 言うこと:知りたいのは、溶媒を替えたとき生成物と反応物の比がどう変わるか。その比を決める量が平衡定数 K なので、K が何倍になるか(K_Y/K_X)を求める。 見せ方:K_X のつまみ:K が 1 より小さいと反応物が多く、1 でちょうど半分(50 %)、1 より大きいと生成物が多い。K の意味の復習。最後に 0.089(23 %)に戻す。 見せ方:K_Y/K_X のつまみを右へ動かして 100 倍に:Y の橙が増えて 75 %。K は 100 倍でも、比は 10 倍。次に左へ動かして 1/100 倍に:橙が減って 3 %。比は 1/10 倍。 言うこと:この反応は 2 つずつで、PhOH と Py を同じ量だけ入れると、比は √K になる(導き方は発展 11)。増えるか減るかは K_Y/K_X しだい。値は説明のために選んだもの。 見せ方:時間があれば K_X を小さくして同じ 100 倍を見せる:倍率が同じでも、K_X が小さければ反応物が多いまま(例題の (2) の伏線)。 問いかけ:「4 つとも G が下がるなら、K は変わらないか」と聞いてから次へ。
時間: 3 分 言うこと:このスライドは小テストの範囲に入る。 見せ方:左は混合物の 30 個の分子(青の丸が反応物、橙の四角が生成物。模式)、右は混合物全体の G を反応の進み具合に対して描いた曲線と、いまの混合物の点。左の生成物の数は点の横の位置(生成物の割合)そのもの。 見せ方:▶ で約 10 秒かけて段が進む:① 全部反応物(左端)から始める ② 反応が進み、点が G の下がる向きへ動く ③ G の極小で止まる:平衡(「生成物 77 %(K = 3.4)」)④ 今度は全部生成物(右端)から ⑤ 逆向きに進み、同じ極小へ向かう。 見せ方:終わったら「(b) ΔG° +3.0」を押して ▶ をもう一度:符号が逆でも全部反応物のままにはならず、生成物が 23 %(K = 0.30)残る。 見せ方:「生成物の割合」のつまみで点を手で動かせる。点の横の矢印(→ ←)は平衡へ向かう向き(G が下がる向き)。つまみを触ったあと → でスライドを進めるときは、図の外を一度クリックする。 見せ方:配布 PDF の図で説明するときは ① 両端の点と ΔG° の矢印(全部反応物と全部生成物の比較)② 曲線の極小(平衡。両端の途中にある)③ 下の 30 個:(a) は生成物 23 個、(b) は 7 個で、どちらも両方が残る。 言うこと:K は平衡での濃度の比(薄い溶液で、各濃度を 1 mol/L で割った値)。2 つずつの反応でも、K と ΔG° の関係は同じ。横軸は反応の進み具合、縦軸は混合物全体の G。両端の差が ΔG°。曲線が両端より下がるのは、混ざると S が増えるから(第 2 回の数え方と同じ)。G の極小が平衡で、そこでの比が K(生成物の割合 = K/(1 + K))。 言うこと:いまの混合物で反応がどちらへ進むかは、その点での曲線の傾きで決まる(平衡で傾き 0)。 つまずき所:「ΔG° が負なら全部生成物になる」。両端の差と極小の位置を指して言い直す。 言うこと:例題の (2) へつなぐ:K が何千倍になっても、K そのものが小さければ反応物が多い。
時間: 2 分 見せ方:溶媒分子を緑の棒(● δ− の端、○ δ+ の端)で描いた模式。熱で揺れながら、陰イオンには δ+ の端を、陽イオンには δ− の端を向ける。中性の分子ではそろわない。下の棒は内側 8 個の向きのそろい具合で、数値に意味はない。 言うこと:並ぶと、イオンと溶媒が引き合って H が下がる。溶媒分子が自由に回れなくなるので S も下がる(第 2 回の「形を 1 つに決めると S が下がる」と同じ)。差し引きで、イオンでは真空より G が大きく下がる。H と S の棒は発展 2。 言うこと:下がり方が化学種ごとに違う、が次のスライドの出発点。
時間: 3 分 見せ方:左の溶媒 X:反応物と生成物の G の差 ΔG° は +6.0。下の絵で生成物は 23 %。 見せ方:中央 (a):両側が同じ 15 だけ下がる(灰の破線が X の位置)。差は +6.0 のままで、K も割合も変わらない。 見せ方:右 (b):生成物側が 11.4 多く下がる。差が +6.0 から −5.4 になり、K は約 100 倍、生成物は 75 %。 問いかけ:(a) を見せて「4 つとも下がったのに、なぜ変わらないのか」と聞く。比べているのは両側の差だから。 言うこと:反応物側が多く下がれば、生成物は減る(問い 1 の答えのスライドで見る)。 つまずき所:「4 つとも下がるから変わらない」は (a) の場合だけ正しい。「イオンができるから右へ」は、どちらの側が多く下がるかを見ていない。 言うこと:割合は PhOH と Py を同じ量だけ入れたときの値で、比は √K で変わる(p.5)。基礎の確認のスライド(1 つが 1 つに変わる反応)とは ΔG° と割合の対応が違う。ΔG° +6.0 は説明のために選んだ値。
時間: 3 分 見せ方:→ キーで 1 段ずつ(右の文と左の図が一緒に進む)。図は前のスライドの (b) と同じ値で、青が反応物側、橙が生成物側の G。 見せ方:① 斜めの矢印が各溶媒の中の ΔG°。+6.0 から −5.4 へ変わった。差 ΔΔG° は −11.4。 見せ方:② 縦の緑の矢印を足す。これが移行自由エネルギー ΔG_tr で、両側の下がった分に付けた名前。R は −15、P は −26.4。 見せ方:③ 同じ差を縦の矢印でも読む。−26.4 − (−15) = −11.4。太い橙の部分が「生成物側が多く下がった分」。 言うこと:斜めの矢印で読んでも、縦の矢印で読んでも同じ −11.4 になる。なぜ同じかを聞かれたら発展 12。この図の矢印は状態どうしの差で、反応の道筋ではない。 見せ方:④ K の比の式。K = exp(−ΔG°/RT) を X と Y で二つ書いて割ったもの。ΔΔG° が負なら K_Y/K_X は 1 より大きい。11.4 は約 100 倍。 言うこと:実験で測りやすいのは各化学種の移行で、縦の矢印から平衡の変化が分かるのが、この式の使いみち。前提は、イオンが対をつくらず、ばらばらに溶けていること(発展 1)。
時間: 4.5 分 問いかけ:解き方を 1 段ずつ開く。開く前に「何と何を比べる?」「どの式?」と聞いてから開く。 言うこと:「解き方」の横の概算の箱:計算の前に、5.7 kJ/mol で 10 倍なので 20 は 3.5 桁、約 3000 と見込んでおく。 見せ方:右は図だけ(式は左の段)。問いの図(4 つの移行を両側に積んだ棒)を見ながら左の段を開き、答えの段で完成版(−15・−35・−20、約 3200 倍)に替わる。④ で粒の絵に替わる。 見せ方:③ は電卓で:20/2.48 = 8.06、e^8.06 ≈ 3200。 見せ方:④ の粒の絵:どちらも K は 3200 倍。K_X = 10⁻³ なら生成物は 3 % から 64 %、K_X = 10⁻⁸ なら 0.01 % から 0.6 % で、反応物が多いまま。印は 100 個で、少ない値は丸めて描いた。 言うこと:(2) は問題に K_X が無いので言えない。比を決めるのは K そのもの。 つまずき所:① 4 つとも負なので「変わらない」② 陰イオンの −25 だけを見て、両側の和を取らない ③ K が 3200 倍になったので「生成物が多い」と言う。
時間: 2.5 分 言うこと:このスライドは小テストの範囲に入る。 言うこと:学部のクーロンの力を思い出す。電荷の間に溶媒があると、力が弱まる。どれだけ弱まるかを表す数が比誘電率。 見せ方:左の真空では力 F。右の溶媒の中では、溶媒分子が電場の向きにそろいながら揺れ、電場を弱める。力は F/ε_r になる。動きは模式。 言うこと:水は約 80 なので、力は約 1/80 になる。比誘電率の例は文献の値を丸めたもの。 言うこと:電場を弱めるのは、溶媒の電子の偏りと、極性分子の向きの並び(ヘキサンは無極性だが電子の偏りで約 2)。イオン 1 個のまわりの電場も弱まり、溶媒の分極でそのぶん G が下がる。次のスライドで式で見る。
時間: 3 分 言うこと:この式は導かない。使い方だけ見る(導き方は教科書の発展の箱と発展 4)。 見せ方:真空(ε_r = 1)から溶媒へ移すときの小さな陰イオンの G の変化。① ε_r = 2:すでに −174(−347 の半分)② 20:−330(95 %)③ 80:−343(99 %)④ 半径を大きくする:W₀ が 1/a で小さくなる。灰の破線が大きな陽イオン(0.35 nm)。 見せ方:右の模式はつまみに連動する。比誘電率を上げると溶媒分子の向きがそろい、半径を上げるとイオンの丸が大きくなる。値には対応させていない模式。つまみを触ったあと → で進めるときは、図の外を一度クリックする。 言うこと:式に電荷の符号は入らない。図の 2 本の違いは半径の違い。 言うこと:ルール:電荷が同じなら、溶媒和は ε_r とイオンの半径だけで決まる。ε_r が 20 を超えると全体に比べて小さい。
時間: 2 分 見せ方:左の絵:実際には溶媒分子が 1 つずつ、揺れながらイオンのまわりに並ぶ。右のモデル:それを平均して、半径 a の空洞のまわりを一様な誘電体(連続誘電体)とみる。 言うこと:このモデルは計算が簡単で、ε_r と半径だけで傾向を出せるのが強み。代わりに、隣の溶媒分子が何をするかは入らない。 問いかけ:箇条を読む前に、図を指して「このモデルで見落とすものは何か」と聞く。
時間: 3 分 見せ方:(a) ボルンの式では、イオンのまわりは一様で、向きも水素結合も入らない。(b) 陰イオン:プロトン性溶媒は O–H の H を向けて水素結合する(青の破線。内側の分子はあまり揺れない)。(c) 陽イオン:溶媒の O が向き、H は外を向くので、水素結合はしない。 見せ方:下の棒は G の下がり方の模式(値は入れていない)。(a) と (c) は誘電体の分だけで、(b) だけ水素結合の分が足されて長い。 言うこと:前のスライドのモデルでは比誘電率が高ければ差は小さいはず。ところが小さな陰イオンでは、プロトン性溶媒で大きく下がる。陽イオンでは、この効果は小さい。例題の X → Y でも、陰イオン PhO⁻ の移行(−25)がいちばん大きかった。 言うこと:2 つ目の箇条:比誘電率がほぼ同じ組(メタノールとアセトニトリルなど。発展 9・10)で比べれば、誘電率の効果を除いて水素結合の効果だけを見られる。 言うこと:N–H をもつ陽イオン(PyH⁺ など)は、その H で溶媒に水素結合することもある(発展 6)。
時間: 6 分 見せ方:個人で 6 分 → 答えのスライド。右の図は考えるための問いの図(上:4 つの移行を両側に積んだ棒、下:比誘電率ごとの G の段)。「上の棒の下端の ? と右の差を埋める」「下の図の 2 つの段差の ? を埋める」と言ってから解かせる。解いている間、講師は前で待ち、決めた時刻に全体へ一言かける(教室は回らない)。 言うこと:反応は例題と別のもの(酸 HA から塩基 B へ H⁺ が移る)。A⁻ は電荷の広がった大きな陰イオンとする(だから下がり方が小さい)。 言うこと:1 は例題と同じ手順で、最後に K そのものを見る。2 は図の値を引くだけ。3 は 2 の予測と測った値を比べる。−40 は説明のために選んだ値。 言うこと:e^2.4 = 11 は、電卓なしで 1 を解くための値。 時間が足りなければ:2 を削る(3 は図の −13 を使えばできる)。
時間: 2 分 見せ方:右の列は動く式。問いの図(棒の下端と差が ?)の下に、② で ΔΔG° と K_Y/K_X の式、③ で図に和 −12 と −18 が入って −18 − (−12) = −6、続けて e^(6/2.48) = e^(2.4) = 11、K_Y = 0.11 が出て、答えで図に −6 と「K は約 11 倍」が入る(e^(6/2.48) = 11.2)。 言うこと:概算の箱:RT ln 10 = 5.7 kJ/mol で 10 倍なので、6 は 10 倍を少し超える。11 と合う。 言うこと:④:A⁻ の段は HA より短いが、生成物側の棒全体は長い(BH⁺ の −12 の分)ので右へずれる。それでも K_Y は 0.11 で 1 より小さい。同じ量を入れたので比は √0.11 = 0.33、生成物は 25 %。例題の (2) と同じ区別。 つまずき所:①「A⁻ が −6 で HA の −8 より下がり方が小さいから左へ」と答える。両側の和で比べることを指す。②「11 倍になったから生成物が多い」と答える。K そのものを見る。
時間: 1 分 見せ方:右の列は動く式。問いの図(段差の値が ?)の下に、先 − 元の式、続けて 2 本の引き算が出て、答えで −156 と −13 の入った図に替わる。 言うこと:移すときの G の変化は段と段の差で、真空との差(−330)ではない。ε_r 2 の段はボルンの式の上の値で、実際にはイオン対ができやすい。 つまずき所:−330 をそのまま答える。元の段を引くことを指す。 言うこと:−13 kJ/mol は全体に比べて小さいが、K では約 190 倍なので無視はできない。
時間: 1 分 見せ方:右の列は動く式。問いの図(予測 −13 と測定 −40。ずれが ?)の下に、ずれ = 測定 − 予測、(−40) − (−13) = −27 が出て、答えで「主に水素結合」の入った図に替わる。 言うこと:−40 は説明のために選んだ値。比誘電率がどちらも高いと、誘電率の効果による差は小さい。そこで大きな差が出たので、一様な誘電体とみたボルンの式に入らないもの、水素結合を疑う。p.14 の (b)。 言うこと:これだけで水素結合と決まったわけではない。確かめるには、比誘電率がほぼ同じで O–H の有無だけが違う溶媒で比べる(p.14 の 2 つ目の箇条)。 つまずき所:−27 の符号:測定のほうが大きく下がる。
時間: 2.5 分 見せ方:左の強い酸(pKa 4)と右の弱い酸(pKa 8)。上の段差が ΔG°(22.8 と 45.6 kJ/mol)。下の絵は pH 6 に保った水溶液での HA と A⁻ の割合(99 % と 1 %)。 言うこと:段差が小さいほど A⁻ の側へ進みやすい。これが強い酸。学部の pKa と ΔG° の関係そのもの。 つまずき所:ΔG° が正なのに 99 % なのはなぜか。右の 2 つ目の箇条を指す(図で動かすなら発展 13)。ΔG° は各 1 mol/L(H⁺ は pH 0)の基準。pH 6 では H⁺ が薄いので A⁻ の側が 34.2 kJ/mol 低く、pKa 4 の酸では差が −11.4 になる。 見せ方:右下の実例:水中では、酢酸が pKa 約 4.8、フェノールが約 10。左の絵の 4 と 8 は説明のために選んだ値だが、酢酸は左に近い側、フェノールは右よりさらに弱い側。問い 1 のフェノールはこちら。 言うこと:絵の割合は Henderson–Hasselbalch の式で出した値:[A⁻]/[HA] = 10^(pH − pKa)。 言うこと:A⁻ は共役塩基。H⁺ は同じ溶媒の中では共通なので、同じ溶媒で二つの酸を比べるときは気にしなくてよい。溶媒の違う pKa の比べ方は発展 7。
時間: 3 分 言うこと:前のスライドのフェノールに、分子内水素結合する置換基を入れる。片側の G だけを下げる例。分子内でプロトンが移る話ではない。H⁺ は今までどおり溶媒へ出る。 見せ方:図の構造式は各線の状態。(a)(b) それぞれ、点線のある側だけが下がる。(a) 置換基のアミドの N–H が O⁻ に水素結合する:A⁻ の側だけ下がる → ΔG° が小さく、pKa が下がる(強い酸)。 見せ方:(b) 酸の O–H が置換基のアミンの N に水素結合する:HA の側だけ下がる → ΔG° が大きく、pKa が上がる(弱い酸)。灰の破線が水素結合を足す前。 言うこと:式:両側とも下がる場合は差で決まる。今日の最初の考え方と同じ。 言うこと:構造は模式で、片側だけに効くとした。比べる相手は、同じ置換基で水素結合しない形。(a) をアミドにしたのは、N の電子対がカルボニルと共役して、O–H を受けにくいから。実際には (a) でも O–H がカルボニルの O に水素結合すれば HA が下がりうるし、(b) では H が N へ移った形も考える必要があるが、ここでは考えない。
時間: 6 分 見せ方:個人で解かせてから答えのスライドへ。右上が改変 1・2 の構造(模式)、右下が考えるための問いの図(どちらの側が 6.0 下がるか。ΔG° の矢印と pKa が ?)。「ΔG° の矢印が長くなるか短くなるか」と言ってから解かせる。 見せ方:1 には選んで判定するボタンがある(投影の HTML でだけ出る)。解く時間が終わってから、手を挙げさせた答えを押して見せ、答えのスライドへ進む。 言うこと:1 は前のスライドの図で答えられる入り口。2 は pKa の変化の計算。3 は両側が違う量だけ下がる場合で、A⁻ の側だけを見ない確認。 時間が足りなければ:2 の改変 2 を削る(改変 1 だけ)。
時間: 1 分 見せ方:右の図は問いの図(灰の破線が改変の前、墨の矢印が下がった 6.0)。答えを開いたあと → で、ΔG° の矢印が入った図に替わる:改変 1 は短く、改変 2 は長い。 言うこと:前のスライドの (a)・(b) と同じ並び。
時間: 1.5 分 見せ方:右の列は動く式。問 1 の答えの図(ΔG° の矢印まで。pKa は ?)の下に、② で pKa の変化の式と RT ln 10 = 5.7、③ で改変 1 の −6.0/5.7 = −1.05、続けて改変 2 の +1.05 が出て、答えで 8.0 − 1.05 ≈ 6.9、8.0 + 1.05 ≈ 9.1 と、pKa の入った図に替わる(高さは模式)。 言うこと:ΔG° の変化は、改変 1 で −6.0(A⁻ の側が下がる)、改変 2 で +6.0(HA の側が下がるので差が広がる)。符号をつけたまま割る。 言うこと:概算の箱:5.7 kJ/mol で pKa が 1 動くので、6.0 なら 1 より少し多い、と口で足す。 つまずき所:符号を逆にする。問 1 の図に戻る:A⁻ の側が下がると ΔG° が小さい → pKa が下がる。
時間: 1 分 見せ方:問いの図を見せ、答えを開いたあと → で ΔG° の矢印が入った図に替わる。 問いかけ:開く前に「A⁻ の側は改変 1 より多く下がる。改変 1 より強い酸か」と聞く。 言うこと:A⁻ の側は 7.0 で改変 1 の 6.0 より多く下がるが、HA の側も 1.3 下がるので、差は 5.7 で改変 1 の 6.0 より小さい。だから改変 1 より弱い酸。 言うこと:両側が同じだけ下がれば pKa は変わらない。溶媒のスライドの (a) と同じ。 つまずき所:「A⁻ が多く下がるから、改変 1 より強い酸」。HA の側の下がり分を引くことに戻す。
時間: 2 分 言うこと:p.20 の (a) の実物で、サリチル酸を見る。COOH の pKa を、オルトとパラの異性体で比べる。パラでは OH が COO⁻ に届かないので、論文はこれを水素結合がないときの基準にした。 見せ方:左はどちらも共役塩基 A⁻ の形。右の図で、水は 4.6 → 2.9、DMSO は 12.4 → 6.6。 言うこと:p.20 の式で読む。A⁻ の側が下がった分 = pKa の差 × 5.7 で、水で約 10、DMSO で約 33 kJ/mol(kJ/mol への換算はこちらで計算)。 言うこと:p.14・p.39 のプロトン性溶媒と非プロトン性溶媒の違い。水の中の COO⁻ は水からも水素結合を受けるので、分子内の水素結合を足しても得が小さい。DMSO の中では相手がいないので得が大きい。 言うこと:聞かれたら:HA の側の水素結合は弱いものとして無視している(論文の注)。オルト位に特有の効果は pKa で 1 未満と論文は見積もる。 言うこと:聞かれたら:論文の主題は酵素。DMSO を活性部位の粗いモデルとして使い、水の外では水素結合が強くなりうると論じている。触媒は第 8 回。 言うこと:何に役立つか:これは基礎研究で、製品に直接つながったものではない。pKa を動かす考え方が薬の候補の性質に効く例は、発展 14。
時間: 2 分 言うこと:冒頭の予想の答え合わせ。3 つの絵は、溶媒 X で生成物 23 % の例。反応物側が多く下がると、生成物は 3 % に減る。 つまずき所:1(変わらない)を選んだ人が多ければ、左の絵の場合だけ正しい、と言う。 つまずき所:2(増える)は、反応物側のほうが多く下がる溶媒では成り立たない。 言うこと:答えの文:同じ分子でも、比べる両側の G を溶媒が別々に変えるので、平衡や酸性度が変わる。
時間: 2 分 見せ方:図の三つの欄(① 平衡は両側の差、② 誘電応答と水素結合、③ どちらの側を下げるか)を左から指し、下の答えの 1 文を読む。 言うこと:三つの欄は同じ考え方(比べる両側の G の変化の差)でつながっている。
時間: 1 分 言うこと:表の節と発展の箱は、教科書の第 3 章(§3.1〜3.8)で自習で読む所。中身(発展の箱を含む)は小テストの範囲外(表の下の一行)。
時間: 1 分 言うこと:次回から第 II 部。少ない配座から主生成物ができる例(カーティン・ハメット)で、存在比(第 2 回)と速さ(第 1 回の遷移状態と障壁)を合わせる。
言うこと:本編と発展で扱った前提のまとめ(ボルンの式が小さな陰イオンで合わない例は発展 5、溶媒の違う pKa は発展 7)。時間があれば使う。教科書の第 3 章「モデルの前提と適用条件」の箱と対。
言うこと:「溶媒は、電荷のまわりにどう並ぶか」のスライドの一段先。図は数値を置かない模式で、ΔH → −TΔS → ΔG の並びは第 2 回の水素結合で閉じた形の棒と同じ。 言うこと:高い温度では −TΔS(緑)が長くなり、ΔG の絶対値が小さくなる。 言うこと:ボルンの式でも、ε_r が温度で変わる分だけ ΔS が出てくる(ΔS = −∂ΔG/∂T)。導き方は教科書の発展の箱。 言うこと:溶媒の並び方の違いは、第 6 回のマーカス理論で「溶媒の再組織化エネルギー」として再び出てくる。
見せ方:左は溶媒 X と Y での反応物側(青)と生成物側(橙)の G、緑の点線が移行。右は ΔΔG° と K_Y/K_X(対数の目盛り)。X での ΔG° 30 kJ/mol は模式で、値そのものに意味はない(298 K)。 見せ方:① 初めは両側とも −15:差は 30 のまま、K は 1 倍(「4 つとも下がるから変わらない」が成り立つのは、この場合だけ)② 生成物側のつまみを下げる:差が縮み、K が増える ③「生成物側を多く」:差が 11.4 縮み、K は約 100 倍 ④ 反応物側だけを下げる:K が減る(左へ)。 見せ方:つまみを触ったあと → で進めるときは、図の外を一度クリックする。 言うこと:5.7 kJ/mol で 10 倍は第 1 回と同じ数。11.4 kJ/mol は 5.7 の 2 倍なので 10 × 10 = 100 倍。RT ln 10 = 2.48 × 2.303 = 5.7。 言うこと:「4 つとも G が下がる」だけでは、どちらの側がどれだけ下がるかを言っていないので、平衡の向きは決まらない。
言うこと:半径 a、電荷 ze の球をつくる仕事(=まわりの電場がもつエネルギー)は、真空で W₀、一様な誘電体の中で W₀/ε_r。真空から溶媒へ移すときの G の変化はその差。導き方は教科書の発展の箱。 言うこと:e は電気素量、ε₀ は真空の誘電率、N_A はアボガドロ定数(1 mol あたりにする)。N_A e²/(8π ε₀) = 69.47 kJ nm/mol。a = 0.20 nm で 347 kJ/mol、0.35 nm で 198 kJ/mol。 言うこと:1 − 1/ε_r の値:ε_r 2 で 0.5、20 で 0.95、80 で 0.99。
見せ方:左の曲線がボルンの式。丸は結晶のイオン半径、四角は分子と同じ体積の球の半径を使った。 言うこと:単原子イオンの絶対値は予測の 6〜8 割台。結晶の半径が溶媒の中の大きさとは違うことも効く。分子の陽イオンが曲線に近いのは半径の決め方にも左右されるので、式の裏づけとは言わない。 言うこと:点線の 2 組(酢酸イオンとトリフルオロ酢酸イオン、PhO⁻ と p-ニトロフェノキシド):大きさが近いのに差が大きい。電荷が広がると水和が弱くなると読める(こちらの解釈)。 言うこと:右の帯がボルンの式の幅。単一イオンの値は H⁺ の基準に依存し、原典の不確かさは 8〜17 kJ/mol。 言うこと:(a) 誘電応答は電荷・半径と ε_r で決まる平均の効果。(b) プロトン性溶媒は接する 1 層で陰イオンに水素結合する。
言うこと:今日の両側の差を、学部で習う「アミンの塩基性の異常な順序」に使う。 見せ方:縦軸は、B + H⁺ → BH⁺ の ΔG が NH₃ よりどれだけ負か(大きいほど強い塩基)。グラフの下は共役酸(アンモニウムイオン)の構造で、N–H を青で示してある。2 つ目の箇条が見出しの問いの答え。 言うこと:聞かれたら:NH₃ と比べた差は、気相 45.5、77.5、99.1 kJ/mol、水中(pKa の差 × RT ln 10)8.0、8.4、3.1 kJ/mol。差し引いた 37・69・96 が、水中で弱まった分。N–H が 4 本から 3・2・1 本に減るので、1 本あたり平均約 30。 言うこと:陽イオンは N–H で水に水素結合を与えて溶媒和される。CH₃ に替わるたびに N–H が 1 本減り、イオンも大きくなって溶媒和が弱まる(約 30 には大きさの分も含む)。厳密には、差は共役酸と中性のアミンの溶媒和の差だが、中性のアミンどうしの差は数 kJ/mol と小さいので、主に共役酸の側。 言うこと:気相でメチル基が強い塩基にする理由(分極か誘起効果か)には深入りしない。
見せ方:左の図の中央が H⁺ だけの G。溶媒 X と Y で高さが違う。右は熱力学サイクル(発展 12)で、上の段から下の段へ行くには縦の移行が要る。 言うこと:同じ溶媒の中で二つの酸を比べるのはよい(H⁺ の基準が共通)。 言うこと:プロトン性溶媒では O⁻ はもともと溶媒と水素結合している。分子内に水素結合を足すと溶媒との水素結合を 1 本失うので、G が下がる分は小さくなりうる。
見せ方:左は動く式(クリックか「次へ ▶」で 1 手ずつ。配布 PDF は最後の式まで)。 言うこと:① p.19 の式の出どころ。ln K_a = ln 10 · log₁₀ K_a と pKa = −log₁₀ K_a から。② 改変の前と後で 2 本書く。③ 引くと ΔG° の変化と ΔpKa が比例する。 言うこと:④⑤ ΔG° を各側の G に分ける。H⁺ の G は同じ溶媒なら改変で変わらないので、差には A⁻ と HA だけが残る。溶媒を替えると H⁺ も変わるので、この式はそのまま使えない(発展 7)。 言うこと:⑥ 式を割ってまとめる。⑦ 5.7 の出どころ。⑧ 演習 B の改変 1 で確かめる。
見せ方:左がプロトン性溶媒(青が O–H の H)、右が非プロトン性溶媒。メタノールとアセトニトリルは比誘電率がほぼ同じなのに、O–H があるかが違う。 言うこと:この組で比べれば、誘電率の効果を除いて水素結合の効果だけを見られる。 言うこと:比誘電率は文献の値を丸めたもの。プロトン性溶媒は N–H のもの(ホルムアミドなど)も含む。DMSO・アセトニトリルにも C–H はあるが、水素結合はごく弱い。
見せ方:左の 2 つの溶媒は比誘電率が 33 と 37 で、ほぼ同じ。右は、メタノールからアセトニトリルへ移すときの G の変化。灰がボルンの式の予測、橙が陰イオン、青が陽イオン。 言うこと:ボルンの式なら差はほとんどない(Cl⁻ で −1.3)。実測の陰イオンは +38〜+61 で、プロトン性溶媒の水素結合を失う分と読める。 言うこと:陽イオンの向きは強く言わない。単一イオンの値は H⁺ の基準で動き、原典の不確かさは 8〜17 kJ/mol。基準を替えると陰イオンと陽イオンは逆向きにずれる。陰イオンが予測より大きく不利なことは変わらない。 言うこと:半径と、ほかの溶媒も含めた値は発展 5。
見せ方:左は動く式(クリックか「次へ ▶」で 1 手ずつ。配布 PDF は最後の式まで)。右の値は p.8 の (b)、298 K。 言うこと:上の一行:反応は 1 つずつ進むので、反応した分だけ PhOH と Py が減り、同じだけ PhO⁻ と PyH⁺ ができる。① K の式。② 濃度を入れる。③ c が消えて、K は比の 2 乗。④ 平方根をとると比。⑤ x について解くと割合。 言うこと:右の絵:K は 0.089 から 8.8 へ約 100 倍、比は 0.30 から 3.0 へ約 10 倍、生成物は 23 % から 75 %。 言うこと:下の 2 行:√K になるのは、2 つずつの反応で、同じ量だけ入れたとき。前提はイオンが対をつくらないこと(発展 1)。
見せ方:左は動く式(クリックか「次へ ▶」で 1 手ずつ。配布 PDF は図と式)。上の段が溶媒 X の中の反応、下の段が Y の中の反応、縦の緑が溶媒の移行。 見せ方:① 上の段を右へ ΔG°(X) ② 右の縦を下へ ΔG_tr(P) ③ 下の段を左へ −ΔG°(Y) ④ 左の縦を上へ −ΔG_tr(R)。もとの状態に戻ったので和は 0 ⑤ 並べ替えると、ΔΔG° は両側の移行の差。 言うこと:一周して 0 になるのは、G が状態だけで決まる量だから。横も縦も状態の並びで、反応の道筋ではない。 言うこと:使いどころ:同じ考え方で、測りにくい量を測りやすい量から出せる。溶媒の違う pKa を比べるときも、この四角を使う(発展 7)。
見せ方:pKa 4 のまま、pH 0 から 6 へつまみを動かす。pH 0 では ΔG° = +22.8 で A⁻ はほとんど無い。H⁺ が薄くなるので A⁻ + H⁺ の側だけが下がり、pH 4 で差が 0、pH 6 で −11.4、A⁻ : HA = 100 : 1。 言うこと:ΔG° の基準は H⁺ も 1 mol/L(pH 0)。ΔG° が正でも、pH の高い水溶液で A⁻ が多いことと矛盾しない。 言うこと:差の符号が向きを決められるのは、HA と A⁻ を同じ濃度にそろえて比べているから。割合は [A⁻]/[HA] = 10^(pH − pKa)。exp(11.4/2.48) ≈ 100 と同じ。 見せ方:pKa を 8 にすると、pH 6 で ΔG は +11.4、A⁻ は 1 %(p.19 の右の酸)。
見せ方:左の構造式で、アミドの N–H と第三級アミンの N(青)を指す。この形の立体異性体が 8 つあり(C8・C9・C25。前臨床の化合物で、承認薬ではない)、C8 と C9 の関係で 2 組に分かれる。図は trans の例で、cis は C9 の CH₃ が逆向き。trans は N–H が N に水素結合する(H を入れて 8 員環)。cis ではこの水素結合ができにくい。 言うこと:p.20 の読み方:R₃NH⁺ → R₃N + H⁺ で、水素結合は R₃N の側を下げる。R₃NH⁺ ではアミンの N に H⁺ が付き、この水素結合は失われる。だから trans の pKa が約 1 低い。 言うこと:pKa が 1 違うと、体内に近い pH での形の割合が変わる。pH 6.5 は小腸からの吸収を模す条件で、R₃N は 72 % と 20 %([R₃N]/[R₃NH⁺] = 10^(pH − pKa))。 言うこと:水素結合の確かめ方は NMR。DMSO と CDCl₃ で N–H の化学シフトを比べ、trans は溶媒でほとんど動かない。さらに N–H をメチル基に替えた誘導体で、性質が水素結合の有無に従うことを確かめた(p.14 の「確かめ方」と同じ考え)。 言うこと:log D は、ある pH でオクタノールと水に分けたときの濃度の比の常用対数。分子の全部の形(R₃N と R₃NH⁺)を合わせて比べる。大きいほど油に移りやすい。中性の形だけを比べる log P と違って pH で変わる。この論文は pH 7.4 で測っている。 言うこと:細胞膜を通るには、水から出て脂質の層に入る。電荷を持つ R₃NH⁺ や、水と水素結合した N–H は入りにくい。だから log D が高い組のほうが透過も高い。透過は、腸の上皮のモデルに使う Caco-2 細胞の単層で測った値。 言うこと:pH でも確かめられる。細胞の片側の pH を 6.5 から 7.4 に上げると、R₃N は cis で 20 % → 67 %、trans で 72 % → 95 %(こちらの計算)。cis は透過が上がるが、trans には届かない。trans は透過が変わらない。 つまずき所:log D は高いほどよい値ではない。trans は透過が高いが、溶解度は 1〜2 μM まで下がる。 言うこと:聞かれたら:透過の値は論文の図にある。溶解度は 1〜2 μM と 86〜98 μM。log D は cis が 3.4〜3.9 で、trans が 0.4〜1.1 高い。論文は、同じ考えが環状ペプチドのシクロスポリン A の経口吸収にも関わるとしている。