前のスライドの「重いと振動が遅い」を、C–H 伸縮 3000 cm⁻¹ で数える
同位体効果
見積もりを、三つの水素移動反応(仮の値)と比べる
反応 1 の 25 を、障壁を越える以外の進み方で説明する
反応 1 のような比を温度を変えて測ると、どちらの線に乗るか
反応 3 の 2.5 を、遷移状態に残る振動で説明する
C–H 伸縮の波数を 2900 cm⁻¹ とする。力の定数は H と D で同じ。質量は C が
C–H 伸縮の波数を 2900 cm⁻¹ とする。力の定数は H と D で同じ。質量は C が
0.734 はほぼ 3/4。2900 の 3/4 で 2200 弱
問 1 C–D 伸縮は何 cm⁻¹ ですか
① 求めるものC–D 伸縮の波数
② 式と前提
③ 代入
約 2130 cm⁻¹
④ 意味C–D の零点エネルギーは C–H より低い
C–H 伸縮の波数を 2900 cm⁻¹ とする。力の定数は H と D で同じ。質量は C が
3000 cm⁻¹ なら約 6.9。振動数が低いぶん少し小さい
問 2 (a) C–H と C–D の零点エネルギーの差は何 kJ/mol ですか (b) この差が遷移状態ですべて消えるとき、298 K の
① 求めるもの
② 式と前提零点エネルギー
③ 代入
(a) 4.6 kJ/mol (b) 約 6.4
④ 意味モデルでは障壁が 4.6 kJ/mol 高い分遅い
C–H 伸縮の波数を 2900 cm⁻¹ とする。力の定数は H と D で同じ。質量は C が
問 3 別の水素移動反応で、298 K の
・C–H 伸縮の零点エネルギーの差だけ
・トンネル効果が加わる ・D で電子状態が変わる
① 求めるもの
② 使う関係C–H 伸縮の零点エネルギーの差だけなら約 7 まで。曲げが効いても
③ 推論軽い H は D よりずっと透過しやすい
トンネル効果が加わる
④ 意味
S. Hu ら, JACS 2014, 136, 8157(DOI: 10.1021/ja502726s);M. J. Knapp ら, JACS 2002, 124, 3865(DOI: 10.1021/ja012205t)
測った比から読めるのは、律速段階(反応全体の速さを決める段)で H が切れるかどうか
C 上と O 上のどちらの H を引き抜くかを、D を置く位置で見分ける
ラジカルがメタノールの C 上か O 上の H を 1 段で引き抜く。O 上の D は溶媒と入れ替わらない。同じ条件で測った速度の比は、CH₃OH/CD₃OH が
(1) どちらの経路を支持しますか
(2) 差は、電子の状態と核の質量のどちらによりますか
解き方ln 6.0 は 2 弱、ln 1.1 はほぼ 0
① 求めるもの律速段階で切れるのは、C 上と O 上のどちらの H か
② 式と前提前因子が同じなら、H と D の障壁の差
③ 代入
(1) C 上の H を引き抜く経路 (2) 核の質量
④ 意味C 上の経路の予想と合う。電子状態は同じなので、差は核の質量による
基質は C–H と N–H を一つずつもつ。C–H が切れると、その H(D)は反応する相手の分子へ移る。同じ条件で測った
基質は C–H と N–H を一つずつもつ。C–H が切れると、その H(D)は反応する相手の分子へ移る。同じ条件で測った
問 1 律速段階で切れるのは、どちらの H ですか
① 求めるもの律速段階で切れる H
② 使う関係一次同位体効果:律速段階で切れる H を D にすると大きい
③ 推論大きく遅くなったのは N–D(
N–H
④ 意味
基質は C–H と N–H を一つずつもつ。C–H が切れると、その H(D)は反応する相手の分子へ移る。同じ条件で測った
問 2 「C–D で
① 求めるもの
② 使う関係同位体効果で分かるのは、律速段階で H が切れるかどうか
③ 推論あとの速い段で切れても比は 1 に近く、
言えない
④ 意味言えるのは「律速段階では切れない」
基質は C–H と N–H を一つずつもつ。C–H が切れると、その H(D)は反応する相手の分子へ移る。同じ条件で測った
問 3 C–H が反応のどこかで切れるかを確かめたい。どの実験をしますか
・同じ速度比をもう一度測る
・生成物の D の行方を調べる
・温度を上げて速くする
① 求めるもの二つの場合を見分ける実験
② 使う関係(i)・(ii) のどちらでも、速度の比は
③ 推論切れれば D は相手へ移り、切れなければ残る
生成物の D の行方を調べる
④ 意味比は律速段階を、D の行方は切れた結合を示す
問い 1:H を D に替えるとなぜ速度が変わるか
| 節 | 内容 |
|---|---|
| §5.2 の発展の箱 | 調和振動子のエネルギー準位を導く |
| §5.5 の発展の箱 | トンネル効果の補正の式と、前指数因子の比 |
| §5.5 の小見出し | トンネル効果の目安の式(発展 3 も) |
| §5.7 | 平衡同位体効果と前駆平衡(発展 2 も) |
| §5.8 | 二次同位体効果の詳しい扱い |
| §5.9 | D の位置を替える実験の実例、同位体効果の測り方、重水素で代謝を遅くする設計 |
この表の内容は読んでおくとよいが、小テストには出さない(小テストはスライドの本編から出す)
次回の問い
有利な電子移動ほど速いか
今日の復習 演習 A・B、小テスト第 5 回 次回の予習 教科書 §6.1〜6.3
| 前提 | 崩れると | 確かめる方法 |
|---|---|---|
| C–H を 2 原子とみなす 調和振動子・同じ力の定数 |
C が骨格につながって重くふるまい、 非調和性も加わって、 振動数の比が √(7/13) から少しずれる |
赤外スペクトルで C–H と C–D の振動数を測る |
| 遷移状態で零点エネルギーの 差がすべて消える |
非対称な遷移状態で差が残り、比が小さい | 遷移状態の振動を計算する |
| ほかの振動(曲げ)は 反応物と遷移状態で同じ |
曲げも遷移状態で弱まると、 比は 7 を超えうる |
遷移状態の振動を計算する |
| 熱で遷移状態を越える (トンネル効果が無い) |
トンネル効果で比が 7 を超える | 温度を変えて比を測る |
| 律速段階は一つ、経路も一つ | 前駆平衡や複数の経路で、 観測される比が混ざる |
D の位置を替え、 D の行方を調べる |
時間: 0.5 分 時間が足りなければ:省く順は 研究の実例の話題の一言(重水素化した薬)→ 演習 A の問 1(答え(2)で「2130 は 2900 × 0.734」と一言)→ 演習 B の問 1(答え(2)で「大きいのは N–D だけ」と一言)→ トンネル効果の動く図で幅を狭める段 → 遷移状態の形の動く図で生成物に近い側へ動かす段 → 研究の実例は 1 つ目の箇条と図だけ。
時間: 2.5 分 問いかけ:ノートを見ずに、と言ってから 1.5 分考えさせ、答えを口頭で言う。 言うこと:1 は、共通の基準から測った二つの遷移状態の G の差(73 と 67 の差 6.0。配座変換が速く、反応が不可逆なとき)。存在比 × 速度定数の比と同じ。 言うこと:2 は、配座変換の時間 1/a が反応の時間 1/k より長いと(図の下の段)、反応のあいだに分布が保たれず、各配座がそのまま反応するから。 言うこと:今日は、H を D に替えると何が変わり、それが遷移状態の G の差にどう効くかを考える。
時間: 2.5 分 見せ方:図を指す:同じ反応で、基質が減っていく様子。C–H(青)は半減期 0.69、C–D(紫)は 4.16。半減期が 6 倍で、D のほうが 6 倍遅い。時間の単位は任意で、一次反応としたモデルの曲線。 問いかけ:三択から予想を心の中で選ばせる(書かせない・集めない)。答え合わせは「問い 1 の答え」のスライドで、ここでは答えを言わない。 つまずき所:「同位体で電子状態が変わる」と考える。D は H と電子の数も核の電荷も同じ。 言うこと:同位体効果は、どの結合が切れるかを調べる、有機化学のふつうの実験。今日は、その数字が何を表し、何を表さないかを見る。
時間: 0.5 分 見せ方:上の帯を指す。第 II 部の 2 回目。第 1 回の「ポテンシャルエネルギー曲面は電子が決める」と、第 4 回の「遷移状態の G の差で速さが決まる」を使う。 言うこと:最初に H と D の違いを決め、次にそれを速度の比にし、最後に測った比から機構を読む。 言うこと:最後の一行:例題・演習の数値は実在の反応の値ではない。研究の実例だけは論文の値。
時間: 3 分 見せ方:左の曲線は、C–H 結合を伸び縮みさせたときのエネルギー。電子が決めるので、H でも D でも 1 本。そこに許される振動のエネルギーの準位を引く(n = 0, 1。青が C–H、紫が C–D)。最も低い準位の高さが零点エネルギー(橙の矢印)。 見せ方:右は C–H と C–D をばねで揺らした絵。ばねは同じで(力の定数が同じ)、D は重いのでゆっくり揺れる。揺れの速さは見せるための値で、実際は 10¹⁴ 回/秒の程度。 言うこと:n は振動の量子数。振動のエネルギーはとびとびで、いちばん低い n = 0 でも ½hν が残る。これが零点エネルギー。古典的なばねなら止まれるが、量子力学では止まらない。 言うこと:振動数 ν が低いほど準位の間隔が狭く、零点エネルギーも低い。だから D の準位が低い。どれだけ低いかは次のスライドで数える。 言うこと:第 1 回の「ポテンシャルの幅が狭い極小ほど振動数が高い」の続き。 つまずき所:「C–D 結合のほうが強い」の「強い」を極小のエネルギー(電子が決める)の違いと取る。極小のエネルギーは同じで、零点エネルギーが低い分だけ、最も低い準位から測った解離エネルギーが大きい、と言い直す。
時間: 2.5 分 言うこと:基礎の確認のスライドで、小テストの範囲に入る。次の見積もりと、演習 A の計算の土台。 見せ方:式:振動数は力の定数と換算質量で決まる。力の定数(極小での曲がり方)は H でも D でも同じ。図の上:μ は 12/13 = 0.923 と 24/14 = 1.714。軽いほうの質量にほぼ近いが、C も動くので少し小さい。比 √(7/13) = 0.734:3000 → 2201 cm⁻¹。下段:波数 × 0.01196 で kJ/mol(3000 cm⁻¹ → hν 35.9 → ½hν 17.94)。C–D は 13.17、差 4.78(丸める前の値の差)。使うのは 0.734 と 4.78 の二つ。 つまずき所:換算質量を使わずに「D は 2 倍重いので 1/√2 = 0.707」とする。図の上の μ を指し、C も動くことを言う。 つまずき所:波数(cm⁻¹)から kJ/mol への換算。1 cm⁻¹ = hcN_A = 0.01196 kJ/mol を指す。
時間: 3.5 分 見せ方:上の二つの動きを比べる。反応物の C–H は極小のまわりで往復する。振動なので零点エネルギーをもつ。遷移状態では、同じ伸縮が H を C から X(H を受け取る原子)へ移す動きになる。この向きでエネルギーは極大なので、戻す力が無く、往復しない。だから零点エネルギーをもたない。 見せ方:下の曲線:反応物の準位は C–H と C–D で 4.78 kJ/mol 違い、遷移状態では差が無い。その分だけ D の障壁が高い(矢印)。右は k_H/k_D(対数の目盛り)。 見せ方:つまみは温度だけ。298 K で 6.9(約 7)→ 200 K で 17.7 → 400 K で 4.2。最後に 298 K に戻す。つまみを動かしたあと、次へ進むときは図の外をクリックしてから → キー。 言うこと:曲線はポテンシャルで、横線が零点エネルギーの準位。障壁は準位から測る。前因子(第 4 回のアイリングの式で exp の前の部分)が同じなら、この障壁の差が ΔG‡ の差になり、速度比を決める。 言うこと:ここでは遷移状態を対称に置いている。形を変えるとどうなるかは、あとのスライドで見る。ほかの振動(曲げなど)は反応物と遷移状態で同じとした。 つまずき所:この 6.9 は一つの振動の差からの目安。メタノールの例題の 6.0 を、この計算から導いたとは言わない。
時間: 2.5 分 見せ方:図の上の一行が三つの反応に共通の形。C–H の H が、受け手の原子 X へ移る。 問いかけ:予想を聞く(約 7 までのはず)→ 反応 1 を指す → 何が違うのか、と問うて次のスライドへ。反応 3 はそのあとのスライドで答える。 言うこと:聞かれたら、6.9 を超えるには、D の障壁が 4.78 kJ/mol より多く高いか、H が熱で遷移状態を越えるのとは別の過程でずっと速く進むか。曲げの振動の零点エネルギーも遷移状態で下がれば比は大きくなりうる(曲げ 2 つがすべて消える極端な場合で約 39)が、曲げはふつう遷移状態にも残るので、25 には届きにくい。
時間: 3 分 言うこと:トンネル効果は概念の紹介で、障壁の幅と質量に依存することを見せる。式は発展 3 に置いた。 見せ方:左は四角い障壁と、電子・H・D の波(模式。障壁の中で弱まる)。右は透過する割合の目安の対数の棒と H/D。 見せ方:初め(幅 0.03 nm、40 kJ/mol):電子はほぼ 1、H 2×10⁻⁴、D 6×10⁻⁶。幅を広げる(0.05 nm):H と D の棒の差が開き、H もほとんど透過しなくなる。幅を狭める(0.02 nm):差が縮む。電子はほとんど弱まらない(次回の電子移動の続き)。 つまずき所:棒の比を k_H/k_D そのものと取る。同じエネルギーで透過する割合の比で、実際の速度比には分子のエネルギーの分布(熱)も入る(発展 3)。言えるのは「H のほうがずっと多くトンネル効果で反応する分、比が零点エネルギーの見積もりより大きくなりうる」まで。 見せ方:高さのつまみは触らない(聞かれたら、高いほど透過しにくい、と一言)。つまみを動かしたあと、次へ進むときは図の外をクリックしてから → キー。 時間が足りなければ:幅を狭める段を省く。
時間: 1.5 分 見せ方:横軸は 1/T(右ほど低温)、縦軸は ln(k_H/k_D)。灰の帯が実際に測れる温度の範囲。実線が零点エネルギーだけ、太い破線がトンネル効果を含む場合。点線は帯の外へのばした線。 見せ方:実線を指す:ln(k_H/k_D) = ΔZPE/RT は 1/T に比例するので、のばすと原点(●)を通る。破線を指す:実線より上にあり、右(低温)ほど離れる。破線をのばすと、原点ではなく 0 より下(○)に当たる(途中の線は省いた)。原点は 1/T = 0。 言うこと:判定:測った範囲で ln(k_H/k_D) を 1/T に対して描き、原点を通る直線になれば零点エネルギーだけで説明できる。直線より上に曲がる、またはのばした線が原点から大きく外れるなら、トンネル効果が加わっている。 言うこと:破線はトンネル効果の補正を入れた模式のモデルの線で、反応 1 の測定値ではない。このスライドは見分け方の話で、反応 1 の判定まではしない。数値による判定は教科書 §5.5 の発展の箱(範囲外)。
時間: 3.5 分 言うこと:零点エネルギーが消えるのは、反応座標に沿った動き(振動ではない)だけ。対称伸縮は振動なので零点エネルギーをもち、そこで H が動くかどうかで差の残り方が決まる。さっきは遷移状態を対称に置いた。ここで形を変える。 見せ方:上の行は前のスライドの動き(反応座標に沿った動き。戻らない)。遷移状態の動きはこれと対称伸縮の二つ。まず対称のまま:C と X が同時に動き、H は止まったまま。H と D の行が同じ速さで揺れる → 差はすべて消える → 右の点は曲線の極大 6.9。 見せ方:つまみをゆっくり左へ(反応物に近い形。H が C 寄り):対称伸縮で H も動き、D の行がゆっくり揺れる(重いので振動数が低い)。差が残り、右の点が下がる。2.5(反応 3)まで動かす。残る差は 2.5 kJ/mol。 見せ方:右へ動かすと同じことが起こる(曲線は左右対称)。つまみを動かしたあと、次へ進むときは図の外をクリックしてから → キー。 言うこと:「対称」は C–H と H–X の部分結合の力の定数が同じこと。H を真ん中に描くのは模式。 言うこと:k_H/k_D は対称で最大、どちらに寄っても下がる。だから一つの値だけでは、反応物と生成物のどちらに近い形かは決まらない。名前は口で:ウェストハイマーの議論。 言うこと:曲線の形は、残る差を 4.78 x² と置いた説明のための仮定で、x は測れる量ではない。 言うこと:聞かれたら、反応 2(6.5)は位置 x = ±0.17、反応 3(2.5)は x = ±0.72(−1 反応物に近い … 0 対称 … +1 生成物に近い)。揺れの速さは見せるための値。 時間が足りなければ:生成物に近い側へ動かすのは省き「曲線は左右対称」と口で言う。ウェストハイマーの名前も省く。
時間: 5.5 分 見せ方:個人で解く → 答えのスライド。右の図は考えるための問いの図(上:反応物の極小と遷移状態と C–H の零点エネルギーの準位。C–D の振動数、D の障壁が高い分、速度比は ?。下:k_H/k_D の対数の目盛りと観測の 30)。「上の ? を埋める」「下の図で、零点エネルギーの差だけならどこまで届くか」と言ってから解かせる。 言うこと:1・2 は基礎の確認と見積もりのスライドの数値替え(3000 → 2900 cm⁻¹。0.0120 は 0.01196 を丸めた値)。2 は ½hν の差と exp。3 はトンネル効果。 見せ方:3 には選んで判定するボタンがある(投影の HTML でだけ出る)。解いている間、講師は前で待ち、決めた時刻に全体へ一言かける(教室は回らない)。解く時間が終わってから、手を挙げさせた答えを押して見せ、答えのスライドへ進む。 言うこと:答えの値:2900 × 0.734 = 2129 cm⁻¹、½ × 771 × 0.0120 = 4.6 kJ/mol、exp(4.6/2.48) = 6.4。 時間が足りなければ:1 を削る。答え(1)のスライドは飛ばし、答え(2)の代入で「2130 は 2900 × 0.734」と一言添える。
時間: 1 分 見せ方:右の列は動く式。問いの図(反応物の極小と遷移状態と C–H の準位。C–D の振動数は ?)の下に、ν ∝ 1/√μ、続けて ν_D = ν_H √(μ_H/μ_D)(式は 1 行ずつ替わる)、代入で 2900 と 0.734 が入り、答えで 2130 cm⁻¹ が出て、図が D の準位(紫、H より低い)と C–D 2130 が入った図に替わる。D の障壁が高い分と速度比はまだ ?(問 2)。 言うこと:計算の前に、0.734 はほぼ 3/4 なので 2900 の 3/4 で 2200 弱と見込む。2130 と合う。 言うこと:零点エネルギーは ½hν なので、振動数が下がった分だけ低い(右の図の紫の準位)。 つまずき所:換算質量を使わずに 1/√2 = 0.707 を掛ける。問題文の √(7/13) を指す(基礎の確認のスライド)。 言うこと:聞かれたら、2900 × 0.734 = 2129 cm⁻¹。
時間: 1.5 分 見せ方:右の列は動く式(式は 1 行ずつ替わる)。問 1 の答えの図(H と D の準位まで。障壁の差と速度比は ?)の下に、½hν、次に k_H/k_D = exp(ΔZPE/RT)、代入で振動数の差が入って 4.6、その 4.6 が e^(4.6/2.48) = e^1.85 へ滑り、答えで約 6.4 が出て、図が D の障壁が 4.6 高い(紫の矢印)→ 6.4 が入った図に替わる。見積もりのスライドの対称の場合と同じ絵。 言うこと:D が遅いのは、障壁が 4.6 kJ/mol 高い分だけ。 言うこと:計算の前に:3000 cm⁻¹ で 6.9。振動数が少し低いので、差も比も少し小さいはず。 つまずき所:4.6 に丸めてから指数に入れると 6.4、丸めずに計算すると 6.5。どちらも正解とする。 つまずき所:½ を忘れて 9.3 kJ/mol(答えの約 2 倍)とする。零点エネルギーが ½hν であることを、零点エネルギーのスライドで指す。
時間: 1 分 見せ方:右の図は問いの図(k_H/k_D の対数の目盛りと観測の 30。零点エネルギーの差だけで届く範囲は ?)。「零点エネルギーの差だけなら、ここ(約 7)まで」と目盛りの 5 と 10 の間を指す。答えを開いたあと → で、灰の帯(約 7 まで)と、超えた分がトンネル効果の分、が入った図に替わる。観測のスライドの反応 1(25)と同じ読み方。 つまずき所:「D で電子状態が変わる」を選んだ学生には、零点エネルギーのスライド(ポテンシャルは同じ)に戻る。 言うこと:確かめ方は、温度で見分けるスライドの判定:原点を通る直線か。
時間: 2 分 言うこと:研究の実例で、小テストの範囲外。二重変異体は、基質の近くの 2 残基を小さくしたもの。「約 7 を超えたらトンネル効果」の本物の例。 見せ方:左は基質リノール酸の構造で、橙が H を引き抜かれる 11 位(実験ではここを D にした)。受け手は Fe(III)–OH。 言うこと:零点エネルギーの差だけという前提が外れ、水素がトンネル効果で障壁を透過している。透過しやすさは質量に強く依存するので、H と D の差が大きくなる。変異で H を渡す C と受け手の O の距離が広がる(障壁の幅が広がる)と、透過しにくくなって k_cat が下がり、H と D の差はさらに開く(トンネル効果の動く図の「幅」)。 言うこと:聞かれたら(30 °C):野生型は k_cat 297 s⁻¹、E_a(H) 8.8 kJ/mol(2.1 kcal/mol)、k_H/k_D 81。二重変異体 L546A/L754A は k_cat 0.021 s⁻¹、E_a(H) 41 kJ/mol(9.9 kcal/mol)、k_H/k_D 729(定常状態)。 つまずき所:「タンパク質の動きがトンネルを助ける」と聞かれたら、解釈に異論があり、この授業では扱わないと答える。 言うこと:(時間があれば)話題の一言:重水素化した薬(deutetrabenazine は 2017 年、deucravacitinib は 2022 年に FDA 承認)。C–H を C–D にして代謝を遅くしたり、望まない代謝物を減らしたりする。 時間が足りなければ:1 つ目の箇条と図だけを言う。
時間: 3 分 見せ方:→ キーで (a)(b)(c) を順に開く。配布 PDF は 3 つとも並んだ図。 見せ方:破線は H を D にしたときの遷移状態(D の障壁が高い分、上がる)。(a) 律速段階(いちばん高い遷移状態)で C–H が切れる → 全体の障壁が上がり、比が大きい。切れる H を D にした効果を一次同位体効果という。 見せ方:(b) C–H が切れるのが律速段階のあとの速い段 → 低い遷移状態が上がっても高いほうは変わらず、比は 1 に近い。ここが今日いちばんの注意。 見せ方:(c) は別の問い。切れる C–H の隣の C の H を D にする → 1 に近い。切れない位置を D にした効果を二次同位体効果という(曲げの振動などの小さな変化)。1 より大きいことも、小さい(逆)こともある。詳しくは教科書 §5.8(範囲外)。 問いかけ:「比が 1 に近かった。C–H は切れないと言えるか」→ 言えない。(b) を指す。 言うこと:反応の前に H が出入りする平衡があると、その効果も比に混ざる。発展 2(前駆平衡)で読める。だから複数の素反応があるとき、この測定だけで機構は確定できない。
時間: 2.5 分 見せ方:スライドを出すと、予想の欄が「?」の表が出る。行は二つの経路、列は C 上と O 上を D にした分子。 問いかけ:「C 上の H を引き抜く経路なら、C 上を D にすると比は大きいか、1 に近いか」。二つの経路の行を埋めてもらう。 見せ方:→ キーで予想の入った表に差し替え(同じ場所で替わる)。配布 PDF は予想の入った表だけ。観測は次の例題で出す。 言うこと:O 上の D は溶媒やほかの分子の H と入れ替わりやすい。乾いた非プロトン性の溶媒など、入れ替わらない条件で比べる。 言うこと:聞かれたら、両方を D にした分子はどちらの経路でも大きくなるので、それだけでは区別できない。
時間: 4 分 問いかけ:開く前に「何と何を比べる?」「どの式?」と聞いてから、解き方を 1 段ずつ開く。 見せ方:問題文の右は 3 つの分子を同じ向きで(D が紫)。下の比は CH₃OH と比べた速度の比。C 上の H を引き抜くと •CH₂OH、O 上の H を引き抜くと CH₃O• ができる。 見せ方:解き方の右の列は図だけ(式は左の段)。問いの図(D にした二つの分子と速度比 6.0・1.1。「H と D の障壁の差」の棒は ?)が、答え (1) で完成版に替わる:C 上の棒だけが高く、O 上はほぼ 0。 言うこと:計算の前に、ln 6.0 は 2 弱なので障壁の差は 2RT(約 5 kJ/mol)より少し小さく、ln 1.1 はほぼ 0 なので O 上の差はほとんどない、と見込む。 言うこと:ラジカルの種類は決めていない。 言うこと:予想の表の C 上の経路の行(大きい、1 に近い)と合う。(2) はポテンシャルが H と D で 1 本(零点エネルギーのスライド)だから。4.4 は零点エネルギーの差 4.78 と同じ程度で、切れる結合の H を D にした一次同位体効果の大きさ。0.24 はほぼ 0。障壁の差は前因子が同じと仮定した値。 つまずき所:「6.0 は 7 に近いので C–H が切れる、1.1 は 1 なので O–H は切れない」と言い切る:各経路で D にしたときの比を与えていないので、二つの経路にどれだけずつ進むかや、C 上の経路だけが起きることは言えない。O 上の経路が少し混ざっても比はほぼ同じ。 つまずき所:4.78 kJ/mol(零点エネルギーの差)から 6 を導いたと言う:一つの振動の差は障壁の差そのものではない。 言うこと:聞かれたら、CD₃OH の 6.0 には、引き抜かれずに残る 2 つの D の小さな二次効果も入る。ここでは一次効果が主とみなす。 時間が足りなければ:計算の前の見込みを口で一言にする。
時間: 6 分 見せ方:右の図は考えるための問いの図(律速段階と速い段の二つの遷移状態。どちらの遷移状態でどの H が切れるかは ?)。「二つの遷移状態の ? を埋める」と言ってから解かせる。 言うこと:2 は「1 に近い=切れない」とは言えない(機構についての判断)。3 は判別の実験の設計。 見せ方:三つとも選んで判定するボタンがある(投影の HTML でだけ出る)。解いている間、講師は前で待ち、決めた時刻に全体へ一言かける(教室は回らない)。解く時間が終わってから、手を挙げさせた答えを押して見せ、答えのスライドへ進む。 言うこと:2 のように「言えない」を選ぶときは、何が足りないかまで考える。 時間が足りなければ:1 を削る。
時間: 1 分 見せ方:右の図は問いの図(G の模式。いちばん高い遷移状態が律速段階、あとの低い遷移状態が速い段。札は ?)。答えを開いたあと → で、いちばん高い遷移状態に「N–H:5.0」が入った図に替わる。低い遷移状態はまだ ?(問 2)。 言うこと:「同位体効果から、何が言えるか」のスライドの (a) と同じ読み方。C–D の 1.0 から何が言えるかは、問 2 で考える。
時間: 1.5 分 見せ方:右の図は問 1 の答えの図(律速段階の N–H:5.0 まで。低い遷移状態は ?)。推論の段で低い遷移状態を指し「ここで C–H が切れたら?」と聞く。答えを開いたあと → で、低い遷移状態(速い段)に「C–H:1.0」が入った図に替わる。観測と合う一つの場合で、「同位体効果から、何が言えるか」のスライドの (b) と同じ読み方。 つまずき所:「言える」を選んだ学生には、そのスライドの (b) に戻る。
時間: 1.5 分 見せ方:右の図は問 2 の答えまでの表(行が (i) C–H は切れない・(ii) 速い段で切れる、速度の比はどちらも 1.0 で同じ。右の列は見出しも中身も ?)。「速度の比の列では見分けられない」と指す。答えを開いたあと → で、右の列((i) D が残る・(ii) D が移る、区別できる)が入った表に替わる。D を置く位置の表と同じ形。 言うこと:第 9 回(統合演習)で、同じ考え方(一つのデータで機構を確定しない、判別の実験を選ぶ)を使う。
時間: 2 分 言うこと:冒頭の予想の答え合わせ。1(電子の状態)を選んだ人が多ければ、零点エネルギーのスライドに戻る。 言うこと:同位体は電子状態(ポテンシャルエネルギー曲面)を変えず、核の質量が振動数と零点エネルギーを変える。反応物と遷移状態で零点エネルギーの差が違うので、障壁の高さが違い、速度が変わる。
時間: 2 分 見せ方:今日の順に、左から指す。H を D に替えても変わるのは質量だけ(零点エネルギーの差 4.78)。遷移状態で差が消える(H と D の準位が重なる)→ k_H/k_D ≈ 7(298 K)。超える:主にトンネル効果、下回る:非対称な遷移状態。機構について:大きければ律速段階で切れる、1 に近ければその H は律速段階では切れない(あとの速い段で切れるときと、切れない位置の D)。切れたかどうかは生成物の D の位置で確かめる。下の 2 行が問い 1 の答えと、機構について言えること。
時間: 1 分 言うこと:表の節と発展の箱は、自習で読む所。中身は小テストの範囲外(表の下の一行)。温度による見分け方(原点を通る直線か)は本編なので範囲内。
時間: 1 分 言うこと:次回は、電子移動の前と後の G を放物線で描き、駆動力(ΔG°)と障壁の関係を見る。第 1 回の時間尺度(電子は速く、核は遅い)、第 3 回の溶媒の並び方を使う。
言うこと:本編の反応 1(25)は 4 行目、反応 3(2.5)は 2 行目の前提が崩れた例。時間があれば、それぞれを指す。
言うこと:ここまでは反応物と遷移状態を比べた(速度論的同位体効果)。これは二つの安定な状態のあいだの平衡。前提:G の差は零点エネルギーの和の差だけ(ほかは同じ)。 見せ方:上の模式:同じ分子の 2 か所の C–H(3000 と 2900 cm⁻¹)に、H と D が一つずつ。D が振動数の高い C–H にある状態と、低い C–H にある状態の平衡。 見せ方:下の左 2 つ:3000 cm⁻¹ の位置では零点エネルギーの差が 4.78、2900 cm⁻¹ では 4.62 kJ/mol。右:二つの状態の零点エネルギーの和(13.17 + 17.35 = 30.51、17.94 + 12.73 = 30.67)。差 0.16 を矢印で示す(縦は拡大)。横は状態の並びで、反応の道筋ではない。 言うこと:D は差の大きい位置に入ると零点エネルギーの下がり方が大きいので、そちらの G が低い:差 0.16 kJ/mol、存在比 1.07:1(298 K)。大きさは、反応物と遷移状態を比べる速度論的同位体効果より小さいことが多い。 言うこと:前駆平衡で H が出入りすると、その平衡の位置も H と D で違う。観測される比は、律速段階の効果と平衡の効果を合わせたものになる。
言うこと:指数の中に幅 w と √m が入るので、軽いほど、幅が狭いほど透過しやすい。40 kJ/mol・0.03 nm で H/D = 33、0.05 nm で 350。 言うこと:電子はこの式の範囲の外(透過がほぼ 1)。電子の値は「ほぼ 1」とだけ読み、数字に意味は持たせない。