供与体と受容体の距離は変えない。駆動力は、D–A から D⁺–A⁻ へ
予想 駆動力を大きくすると、電子移動の速さはどの線をたどるか
問い 1有利な電子移動ほど速いか
今日の数値は、説明のために選んだ値(研究の実例を除く)
1 段目:D–A と D⁺–A⁻ の
同じ
同じ対で、電子はどの配置のときに移れるか
電子が移る前に、配置を動かすと
2 段目(問い 1):
前のスライドの交点の高さを式で表し、速さにつなげる
マーカスの式(図は
(a)
解き方障壁の差が
① 求めるもの三つの対の障壁(
② 式と前提
③ 代入
(b)(
④ 意味
同じ距離にある 3 つの対で、
同じ距離にある 3 つの対で、
問 1 3 つの対は、それぞれ通常領域・障壁なし・逆転領域のどれですか
① 求めるもの三つの対の領域(
② 式と前提
③ 推論30 < 60、60 = 60、110 > 60
④ 意味交点は、D–A の極小に対して
同じ距離にある 3 つの対で、
問 2
① 求めるもの二つの対の障壁と、速さの比
② 式と前提
③ 代入
約 15 倍速い
④ 意味
同じ距離にある 3 つの対で、
問 3 溶媒を、
① 求めるもの二つの溶媒の
② 式と前提
③ 代入
約 1/10(
④ 意味替えた先では、向きの並び直しがほとんどない
要点:
J. R. Miller, L. T. Calcaterra, G. L. Closs, J. Am. Chem. Soc. 1984, 106, 3047–3049(DOI: 10.1021/ja00322a058)
例題と同じ
右の放物線は溶媒の分 50。結合の分 30 は振動の準位(1500 cm⁻¹ の間隔)
3 段目(設計):まず、前因子と距離
速さ ∝
例題で同じ速さだった
ある対は、298 K で
ある対は、298 K で
問 1 今の対は、通常領域と逆転領域のどちらですか
① 求めるもの今の対の領域
② 式と前提
③ 推論120 > 80
逆転領域
④ 意味交点は D–A の極小より左
ある対は、298 K で
案 Y の
問 2 今より速くなるのは、案 X と案 Y のどちらですか
① 求めるもの今と案 X・Y の障壁
② 式と前提
③ 代入今:
案 X:
案 Y:
案 Y(案 X は今より遅い)
④ 意味逆転領域では、
ある対は、298 K で
問 3 案 X のように実際に溶媒を替えると、次の仮定のうち、いちばん崩れやすいのはどれですか
(a)
(c) カップリングが変わらない
① 求めるもの溶媒を替えると変わる量
② 推論D⁺–A⁻ の溶媒和が変わり、
(a)
③ 意味
要点:改変案は
問い 1:有利な電子移動ほど速いか
| 節 | 内容 |
|---|---|
| §6.1・6.2 | 酸化還元電位の測り方と、イオンの間の引き合いの補正 |
| §6.6 の発展の箱 | 二つの放物線から障壁の式を導く |
| §6.7 の発展の箱 | 生成物の振動の準位を入れた速さの式(マーカス・レヴィッチ・ジョートナー) |
| §6.8 | カップリングの距離の式( |
| §6.8 | 溶液の中の二分子の電子移動が、拡散で出会う速さで頭打ちになること |
表の内容は小テストの範囲外(自習用)
吸収の弱い色素と吸収の強い色素の吸収帯(模式)
次回の問い
光を吸収する分子が
必ずしもよく光らないのはなぜか
今日の復習 演習 A・B、小テスト第 6 回 次回の予習 教科書 §7.1〜7.3
| 前提 | 崩れると | 確かめる方法 |
|---|---|---|
| 二つの放物線が同じ曲がり方 | 障壁の式が変わり、速さの曲線が −ΔG° = λ の左右で非対称になる |
D–A と D⁺–A⁻ の構造 (振動数)を比べる |
| 核の動きを古典で扱う (振動数の低い溶媒の動きなら成り立つ) |
生成物の硬い振動の準位で、逆転領域がゆるやか | 重水素化・ 温度依存を測る |
| カップリングが弱い (二つの放物線の形を変えない程度) |
強いと遷移状態が約 さらに強いと二つの極小が一つになり、式が使えない |
吸収スペクトルの 電荷移動の帯を見る |
| 拡散や後続反応は 速さを決めない |
速い電子移動では、出会う速さで頭打ち | 粘度を変えて測る |
放物線は溶媒の分(
時間: 0.5 分 時間が足りなければ:省く順は 演習 A の問 1(問 2 の途中で出てくる)→ 演習 B の問 1 → 研究の実例を 1 分に(図と一言だけ)→ p.10 の動く図の λ のつまみを省く。
時間: 2.5 分 問いかけ:ノートを見ずに、と言ってから 1.5 分考えさせ、答えを口頭で言う。 言うこと:1:ポテンシャルエネルギー曲面(電子状態)は同じで、D は零点エネルギーが低い。遷移状態では C–H 伸縮が反応の動きになり、零点エネルギーの差が消える → D の障壁が 4.78 kJ/mol 高い(298 K で約 7 倍)。 言うこと:2:軽い H はトンネル効果で障壁を透過する。電子は H の 1/1836 の質量で、同じ障壁なら H よりずっとトンネル効果を起こしやすい。今日は、その電子が分子の間を移る速さを考える。
時間: 2.5 分 見せ方:下の図で、D と A がつながり、電子(e⁻)が D から A へ移ると D⁺–A⁻ になることを指す。上の図の 3 本の線を順に指す。縦軸は速さの対数で、目盛りはまだ無い。 問いかけ:三択から予想を心の中で選ばせる(書かせない・集めない)。答え合わせは「問い 1 の答え」のスライドで、ここでは答えを言わない。 つまずき所:1「有利なほど速い」を選びやすい。ふつうは有利な反応ほど障壁も低いことが多いため。3 は、電子はすぐ移ると考える答え。 言うこと:電子移動は、光合成・太陽電池・有機 EL・光触媒で起こる。駆動力をどこまで大きくするかは、分子を設計するときに決めること。
時間: 0.5 分 見せ方:上の帯:第 II 部の 3 回目で最後。第 1 回の時間尺度(電子は速く、核は遅い)、第 3 回の溶媒の並び方、第 4 回の「遷移状態の G で速さが決まる」、第 5 回のトンネル効果を使う、と帯を指して一言。 言うこと:最後の一行:例題・演習・図の数値は実在の分子の値ではない。研究の実例だけは論文から。
時間: 1.5 分 言うこと:学部の復習(酸化還元電位と ΔG°)なので短く。駆動力 −ΔG° が大きいほど有利。 言うこと:前提の「同じ溶媒」は第 3 回の「溶媒の違う値をそのまま比べない」と同じ。D⁺ と A⁻ の間のクーロンの引き合い(距離と溶媒による)は小さいとして省く。 言うこと:聞かれたら、光で励起した D* から電子が移るときは、励起エネルギーの分だけ有利になる(第 7 回)。
時間: 2 分 見せ方:横軸:核(結合の長さ)と溶媒分子の向きをまとめた座標。下の絵で、x = 0 では溶媒の向きがばらばら、x = 1 では D⁺・A⁻ に向いてそろう。青が D–A、橙が D⁺–A⁻。極小の高さの差が前のスライドの ΔG°。この対では −30。 言うこと:放物線にするのは、ばねと同じ近似。同じ曲がり方とするのも近似(崩れる場合は発展 1)。 言うこと:この対を p.8 と p.10 でも使う。 つまずき所:x を時間と読む。横軸は配置で、時間ではない。
時間: 4 分 見せ方:左は D と A と、まわりの溶媒分子(緑)。右は D–A(青)と D⁺–A⁻(橙)の G の放物線。点が今の状態、灰の破線がその x での二つの G の差。 見せ方:「▶ 動かす」で約 11 秒。1 回目は黙って通しで見せる。2 回目は上の文が替わるたびに「■ 止める」で止めて話す:D–A の極小で溶媒はばらばら → 熱の揺らぎで x が行ったり来たりしながら交点(x = 0.35)へ(動きは模式で、時間の目盛りはない)→ 交点で電子が移る。点は同じ位置のまま青から橙へ(G の差が 0)。左の溶媒は動かない → 溶媒が D⁺–A⁻ に合わせて並び直し、D⁺–A⁻ の極小(x = 1)へ緩和する(ps 以上)。 見せ方:そのあと「手で動かす」:D–A を選び x = 0 で「D⁺–A⁻」を押すと、点が 70 kJ/mol 上に飛ぶ(溶媒がばらばらのまま電子だけ移すと G が合わない)。x = 0.35 では二つの G が等しい(12.25 kJ/mol)。 言うこと:安定な「準備済みの中間体」ができるのではなく、熱の揺らぎで電子移動に合う配置にたまたま届く、という見方。この交点が遷移状態で、その高さが障壁。 言うこと:核と溶媒が止まったまま G が違う配置で電子が移ると、エネルギーが保存されない。 見せ方:ボタンとつまみを触ったあと → でスライドを進めるときは、図の外を一度クリックする。
時間: 2 分 見せ方:青の破線の矢印を指して、D–A の放物線の上を x = 0 から x = 1 へ動かす。右の絵:溶媒は D⁺–A⁻ に合う向きになったが、電子は D のまま(丸は青のまま)。そのときの G の上がり分が λ(この対で 100)。 言うこと:x = 1 では D–A が +100、D⁺–A⁻ が −30。この 2 つの差は 130 で、λ ではない。λ は D–A の放物線の上だけで測る。 つまずき所:λ を二つの極小の差(ΔG°)と混ぜる。λ は配置を動かす分で、ΔG° は電子が移る前後の極小の差。
時間: 2.5 分 見せ方:「▶ 動かす」:電子が移ると、薄い緑の電子雲はすぐかたよる(速い分極、fs)。分子の向きは遅れてそろう(遅い分極、ps)。「無極性」を押して動かすと、電子雲だけがかたよって向きの分がない。 言うこと:溶媒の電子は移る電子についていけるので、λ に入らない。遅れて並び直す向きの分だけが λ_out に入る。n² は光の振動数での誘電率で、速い分極だけを見ている。ε_r はすべての分極を含む。その差が向きの分。 言うこと:棒の下の値は 1/n² − 1/ε_r(1/1.8 − 1/36 = 0.528、1/2.0 − 1/2.2 = 0.045)。λ_in は 20 kJ/mol とした。λ_out は 0.528 と 0.045 に約 200 kJ/mol を掛けて 105 と 9。 つまずき所:第 3 回のボルンの式の 1 − 1/ε_r のまま比べてしまう。初めの項が 1 ではなく 1/n² で、同じ形ではない。 言うこと:聞かれたら、約 200 kJ/mol はマーカスの二つの球のモデルの係数:λ_out = (N_A e²/4πε₀)(1/2a_D + 1/2a_A − 1/r)(1/n² − 1/ε_r)。a_D = a_A = 0.35 nm、r = 0.70 nm で 138.9 × 1.43。距離 r が大きいほど λ_out は大きい。 見せ方:ボタンを触ったあと → で進めるときは、図の外を一度クリックする。
時間: 3.5 分 見せ方:左は D–A(青)と D⁺–A⁻(橙)の放物線と交点、中央は交点の配置での溶媒の向き(模式)、右は速さの曲線と今の点。 見せ方:「通常」(ΔG° = −30):障壁 12.25 → ΔG° のつまみを下げる:交点が下がり、溶媒の向きはばらばらに近づく →「障壁なし」(−100):D⁺–A⁻ の放物線が D–A の極小を通る。x = 0 →「逆転」(−170):交点が D–A の極小より左(x = −0.35)。溶媒は D⁺–A⁻ に合う向きと反対側へずれる。障壁がまた 12.25 → λ を動かす:最大の位置が −ΔG° = λ に動く。最後に λ を 100 に戻す。 言うこと:「有利なほど速い」は、ここでは −ΔG° < λ の範囲だけ。 見せ方:例題の値(λ = 80)にはつまみを合わせない。例題の答えになる。つまみ・ボタンを触ったあと → で進めるときは、図の外を一度クリックする。 時間が足りなければ:λ のつまみは動かさない。
時間: 2.5 分 言うこと:前の動く図の答え。λ + ΔG° は −ΔG° = λ で 0 になり、そこから離れると両側で同じように上がる。導き方は発展 2。 見せ方:図は λ = 100 の対の速さの目安(前因子は同じ)。−ΔG° = 100 で最大、両側で左右対称に下がる。 言うこと:前因子の中身(D と A の電子の結びつき)は p.19 で見る。 言うこと:名前はマーカス理論(1956 年〜)。逆転領域は理論から予言され、のちに分子内電子移動で確かめられた(研究の実例のスライド)。
時間: 4 分 問いかけ:開く前に「何と何を比べる?」「どの式?」と聞いてから、解き方を 1 段ずつ開く。 言うこと:概算の箱:障壁の差が RT(2.48)の 4〜5 倍なら、e⁴〜e⁵ で百倍ほど。 見せ方:右の列は動く式。問いの図は D–A(青)と三つの対の D⁺–A⁻(橙、λ = 80)で、交点の点と高さは描いていない。式が出たら「障壁は、二つの放物線の交点の高さ」と言う。 見せ方:答えの段で e^(11.25/2.48) ≈ 93 が出て、図が完成版に替わる:−20 と −140 の対の交点が D–A の極小の右と左の同じ高さ(11.25)、−80 の対の交点が極小(0)。 言うこと:−20 の対は λ + ΔG° = 60、−140 の対は −60。二乗すると同じ。−140 の対は −ΔG° > λ(140 > 80)。 つまずき所:(a)(「有利なほど速い」)。λ + ΔG° の符号。障壁 0 なら無限に速いと考える:速さはカップリング・前因子・拡散で決まる。 言うこと:前提は、弱い電子的カップリング、核と溶媒の動きを古典で扱う、同じ曲がり方の放物線、拡散や後続反応を含めない。
時間: 6 分 見せ方:個人で 6 分 → 答えのスライド。右の図は考えるための問いの図(上:D–A(青)と三つの対の D⁺–A⁻(橙、λ = 60)、下:二つの溶媒の 1/n² の棒)。「上の図の三つの ? は交点の高さ」「下の棒から 1/ε_r を引いた残り(?)を比べる」と言ってから解かせる。解いている間、講師は前で待ち、決めた時刻に全体へ一言かける(教室は回らない)。 言うこと:1 は 30 秒で答えられる入り口。2 は例題と同じ手順(λ からのずれが二つの対で違う)。3 は一段先の話(p.9 の λ_out)。 言うこと:指数は関数電卓で(第 1 回のガイダンスで持参と言ってある)。 時間が足りなければ:1 を削る(2 の途中で出てくる)。
時間: 1 分 見せ方:右の図は問いの図(放物線だけ)。答えを開いたあと → で、三つの交点に点が付いた図に替わる(高さはまだ ?)。D–A の極小に対して右(通常)、極小(障壁なし)、左(逆転)と順に指す。 言うこと:−ΔG° と λ を比べるだけで、障壁を計算しなくても領域は決まる。
時間: 1.5 分 言うこと:概算の箱:λ からのずれが 30 と 50 なので、−110 の対の障壁のほうが高いと見込んでから計算する。 見せ方:右の列は動く式。図の下に、障壁の式、−30 の対の 3.75、−110 の対の 10.42、倍率 ≈ 15(14.7)が出て、答えで図が高さの点線の入った完成版に替わる。交点の高さが違うことを指す。例題の −20 と −140 は λ から同じ 60 離れていたので同じ高さだった、と比べる。 言うこと:前因子は同じなので、速さの比は障壁の差だけで決まる。−60 の対は障壁 0 でいちばん速い。 つまずき所:−110 の対を「いちばん有利なのでいちばん速い」とする。逆転領域であることを指す。
時間: 1.5 分 言うこと:ε_r = 2.5 の溶媒では 1/ε_r(0.40)が 1/n²(0.45)に近いので、引いた残りはわずか。 見せ方:右の列は動く式。問いの図(二つの溶媒の 1/n² の棒)の下に式が出て、答えの段で比と完成版に替わる:棒の高さが 1/n²、灰の破線の部分が引く 1/ε_r、残りの緑が 1/n² − 1/ε_r。 言うこと:途中の値(ε_r = 33:0.556 − 0.030、2.5:0.455 − 0.400)。比は 9.6 で約 10。 つまずき所:1/ε_r だけを比べて「33/2.5 = 13 倍」とする。1/n² が引かれることを指す。第 3 回のボルンの式の形 1 − 1/ε_r で比べると 1.6 倍になる。
時間: 2 分 言うこと:今日の問い 1 への、実験の答え。溶液の中で逆転領域を初めてはっきり示した。 見せ方:図の R₁・R₂ の一方が電子を渡す側(ビフェニル)、もう一方が受容体。硬いステロイド骨格でつないだので距離が一定で、駆動力の効果だけを取り出せる。 言うこと:パルス放射線分解でビフェニルに電子を 1 個与え、受容体を 8 種に替えて、電子が受容体へ移る速さを測った。曲線は形だけの模式で、数値は載せていない。 言うこと:速さが最大になるのは −ΔG° ≈ λ の所。無極性の溶媒では λ_out が小さいので λ が小さくなり、最大は小さい −ΔG° の側へ動くと予想される。論文の題も「自由エネルギーと溶媒の効果」。 言うこと:それまでの、溶液中で 2 分子がぶつかる消光(Rehm & Weller 1970)では、速さが拡散で頭打ちになった。 言うこと:骨格を通る電子の結合は扱わない(軌道の議論になる)。
時間: 2 分 見せ方:左:墨の線がマーカスの式(λ = 80、298 K)、紫の点が測定を想定した教材の値。−ΔG° = 200 で式は 10⁻⁷·⁹、点は 10⁻²·⁸(点が約 10⁵ 倍速い)。 問いかけ:左右対称なら −ΔG° = 200 で 10⁻⁸ のはず。何が違うのか、と問うてから右を見せる。 見せ方:右:λ = 80 のうち結合の分 30 を生成物の振動の準位で表し、溶媒の分 50 を放物線にした。準位が 1 つ上がるごとに D⁺–A⁻ の放物線が 17.9 kJ/mol 上にずれる。ΔG° = −160 で、準位 0 の障壁は 60.5(溶媒の放物線だけでの値。λ = 80 全体を放物線にした式なら 20)、準位 3 は 15.8、準位 6 は 0.03 kJ/mol。 言うこと:高い準位ほど生成物ができる重みは小さいので、なお遅くはなる。式ほどには下がらない、という話。 言うこと:逆転領域の速さが古典の式より大きいことは、実際の電子移動でも一般に見られる、と言ってよい。 言うこと:1500 cm⁻¹ の振動は hν ≫ k_BT なので古典では扱えない(第 5 回の零点エネルギーと同じ)。溶媒の振動数の低い動きは古典のまま。
時間: 2.5 分 言うこと:p.11 の前因子の中身。第 5 回のトンネル効果の続き。電子は軽いので、D と A の間の空間(交点の障壁とは別の、電子にとっての障壁)をトンネル効果で透過する。核と溶媒のほうは、熱の揺らぎで交点まで上がる必要がある。 見せ方:右上の模式:骨格の長さを変えた系列で、横軸は D と A の端と端の距離 r。縦軸は対数なので、直線は「同じ距離離れるごとに同じ割合で減る」こと。札の 1/700 は r = 0.35 nm を基準にした r = 1.0 nm の値。 言うこと:|H_DA|² ∝ exp(−β(r − r₀))、β = 10 nm⁻¹(目安。間に何があるかで変わる)。 言うこと:H_DA は意味だけ:D と A の電子の結びつきの強さ。配置(向き)でも変わる。「重なり」とは言わない。軌道の議論には入らない。 言うこと:前提の「カップリングが弱い」:電子は交点でだけ移り、二つの放物線の形は変わらないとする(強い場合は発展 1)。 見せ方:図の「障壁が同じなら」:距離を変えると λ_out も変わる(1/r の項)ので、実際の速さは障壁の変化も含めて見る。 問いかけ:酸化還元電位は同じで距離が違えば? → 障壁だけでは決まらない。
時間: 3 分 見せ方:二つの対の放物線を並べ、同じ λ のつまみで同時に動かす。右の障壁の線は −20 の対が実線、−140 の対が破線。下に、どちらが何倍速いか(298 K、前因子は同じ)が出る。 問いかけ:つまみを動かす前に、λ を下げるとどちらが速くなるかを聞く(10 秒)。 見せ方:λ = 80:二つの障壁は 11.25 で同じ(例題の答え)→ λ を 40 へ下げる:−20 の対は 11.25 → 2.5(速くなる)、−140 の対は 11.25 → 62.5(遅くなる)。λ = 40 では −20 の対が 3×10¹⁰ 倍速い → λ を 120 に上げる:−140 の対の障壁が 0.83、−20 の対は 20.8 で、−140 の対が 3×10³ 倍速い → 140 で −140 の対の障壁が 0。 言うこと:逆転領域の対では、λ を −ΔG° に近づける(大きくする)ほうが速い。速さを変える手段は、溶媒(λ_out)、分子の硬さ(λ_in)、電位(ΔG°)、距離・配置(H_DA)。 言うこと:時間があれば、光合成の電荷分離のように「逆の電子移動(電荷再結合)を遅くしたい」ときは、逆転領域に置く設計がある。 見せ方:つまみを 50・110 に止めない(演習 B の案の値)。つまみを触ったあと → で進めるときは、図の外を一度クリックする。
時間: 6 分 見せ方:個人で解かせてから答えのスライドへ。右の図は考えるための問いの図(障壁を λ に対して描く軸と λ = 120(= −ΔG°)の破線、案 X・今・案 Y の点は ?)。「図に三つの点を打つ」と言ってから解かせる。解いている間、講師は前で待つ(教室は回らない)。 見せ方:三問とも判定ボタンがある(投影の HTML でだけ出る)。解く時間が終わってから講師が、手を挙げさせた答えを押して見せ、答えのスライドへ進む。 言うこと:1 は入り口。2 は前のスライドの考え方の計算。3 は前提の判断(第 3 回の溶媒和の続き)。 時間が足りなければ:1 を削る。
時間: 1 分 見せ方:右の図は問いの図。答えを開いたあと → で、λ < 120 の逆転領域の塗りと、今の点が入った図に替わる。 言うこと:今の点が破線の左(逆転領域)にあることを指す。
時間: 1.5 分 言うこと:概算の箱:案 Y の λ は −ΔG° に近いので、交点は D–A の極小の近く。障壁はほぼ 0 と見込んでから計算する。 見せ方:右の列は動く式。答えで図が完成版に替わる:障壁を λ に対して描いた曲線と、案 X(50、24.5)・案 Y(110、0.23)の点。λ < 120 は逆転領域で、λ を下げるほど障壁が上がる。 言うこと:分母は 4λ(200、440)。案 X は今の 5.0 より高いので遅くなる。 つまずき所:案 X を選ぶ。p.20 の破線を指す。 言うこと:聞かれたら、弱いカップリングの式の前因子には 1/√(4πλRT) が入るので、λ を変えると前因子も少し変わる(50 と 110 で 1.5 倍)。障壁の差(約 2×10⁴ 倍)に比べて小さく、答えは変わらない。
時間: 1.5 分 見せ方:右の図は問いの図(極性の溶媒の D–A と D⁺–A⁻ だけ)。答えを開いたあと → で完成版に替わる(高さは模式):無極性の溶媒の列が出て、D–A はほとんど動かず、D⁺–A⁻ だけが上がって −ΔG° が小さくなる。横は溶媒の違いで、反応の道筋ではない。 言うこと:無極性の溶媒では λ_out が小さいが、D⁺–A⁻(電荷の分かれた状態)も溶媒和されにくく、ΔG° が正の側へ動く。第 3 回の「両側の G を別々に変える」と同じ見方。 言うこと:λ_in は分子の中の量で、カップリングも少しは変わるが、溶媒和で直接動くのは電荷の分かれた D⁺–A⁻ の G。
時間: 2 分 言うこと:冒頭の予想の答え合わせ。問いのスライドと同じ軸で、2 の線が残る(λ = 100、298 K の式の値)。1 を選んだ人が多ければ、p.10 の動く図に戻る。 言うこと:距離や配置が違う対では、カップリングも比べる(まとめの下の一文)。
時間: 2 分 見せ方:まとめの図を左から順に指す:二つの放物線と交点 → 速さと駆動力(通常・逆転。紫は生成物の振動の準位を入れたモデル)→ 速さを決める三つ(ΔG°、λ、H_DA)→ 下の一文。
時間: 1 分 言うこと:表の節と発展の箱は、自習で読む所。
時間: 1 分 言うこと:次回は第 III 部。励起状態の失活(蛍光と無放射過程)を、速度定数の競争として考える。今日の電子移動も、励起状態を失活させる過程の一つ(第 9 回の事例 I)。
言うこと:本編で前提が崩れる例は、生成物の振動の準位(p.18)、溶媒を替えると ΔG° も変わる(演習 B の答え(3))、障壁だけでは順位が決まらない(p.19)。この表はそれを並べたもの。 言うこと:4 行目:分子間の電子移動では、出会う速さ(拡散)で頭打ちになり、逆転領域が見えにくいことがある。
言うこと:λx² = λ(x − 1)² + ΔG° を展開すると 0 = −2λx + λ + ΔG°、x* = (λ + ΔG°)/(2λ)。代入すると ΔG‡ = (λ + ΔG°)²/4λ。 言うこと:例題の −20、−80、−140 の対で x* = 0.375、0、−0.375(逆転領域で負:D–A の極小より左)。 言うこと:λ の意味は p.8 の定義と同じ。
見せ方:左は D–A の放物線(溶媒の λ_out = 50)と、D⁺–A⁻ の放物線を準位 0〜11 だけずらしたもの。黒い点が準位 0 との交点、橙の大きい点がいちばん低い交点。左下の棒は準位ごとの重み(濃い棒がいちばん低い交点の準位)。右は速さ(最大を 1)の対数で、紫が振動の準位を入れたモデル、破線が古典(λ = 80)。 見せ方:ΔG° = −160:準位 0 の交点の障壁は 60.5(λ = 80 全体を放物線にした式では 20)だが、準位 6 との交点は 0.03 kJ/mol。準位 6 の重みは 0.006 と小さい → −220 へ:別の準位の交点が D–A の極小の近くに来る → −40 へ(通常領域):準位 0 がいちばん低い。振動の準位の効きは 3 倍ほど。 言うこと:重みは e⁻ˢSᵛ/v!(S = λ_in/ħω = 1.67、v は準位)。生成物が実際にどの準位にできるかは、この重みに障壁の e^(−ΔG‡/RT) を掛けて決まる:−160 では準位 5 が約 5 割、準位 6 が約 3 割。それを足したのが紫の線(マーカス・レヴィッチ・ジョートナーの形)。 見せ方:つまみを触ったあと → で進めるときは、図の外を一度クリックする。