触媒の状態と反応の速さ

有機量子化学特論 第 08 回 | 教科書 第 8 章

基質を強く結合する触媒ほどよいか

有機量子化学特論 第 08 回 触媒の状態と反応の速さ

前回の復習

1 前回の問い「光を吸収する分子が必ずしもよく光らないのはなぜか」:吸収の強い色素は、吸収の弱い色素より 5 倍よく吸収するのに暗かった。なぜですか

2 量子収率が同じ二つの分子で、 と のどちらが変わったかを見分けるには、何を測りましたか

教科書 第 8 章
有機量子化学特論 第 08 回 触媒の状態と反応の速さ

問い 1基質を強く結合する触媒ほどよいか

同じ反応の二つの触媒

予想 同じ量の触媒で、生成物を速く作れるのはどちらか

  1. A(強く結合するから)
  2. B(速く変換するから)
  3. 基質の濃度によって入れ替わる
教科書 第 8 章
有機量子化学特論 第 08 回 触媒の状態と反応の速さ

今日の流れ 教科書 §8.1〜8.10

問い 1基質を強く結合する触媒ほどよいか

  1. 触媒は C と CS に分かれる。速さは「CS の数 × 1 個の速さ」
    → 例題 → 演習 A
  2. 同じことを の図で見る:触媒がいる状態から遷移状態まで
    → 演習 B
  3. 測った速さの曲線から、何が言えるか

今日の数値は、説明のために選んだ値(研究の実例を除く)

教科書 第 8 章
有機量子化学特論 第 08 回 触媒の状態と反応の速さ

触媒反応は、どの過程に分けられるか 教科書 §8.1〜8.2

手で動かす1 回目

  • 結合 → 変換 → 解離の一回り。P を作るのは CS にいる触媒だけ:
  • この回のモデル:解離は速く、生成物による阻害と触媒の失活はない
教科書 第 8 章
有機量子化学特論 第 08 回 触媒の状態と反応の速さ

触媒は C と CS に、どう分かれるか 教科書 §8.3

P を作るのは CS にいる触媒だけ。だから CS の数を数える

  • で半分が CS にいる
  • は回転頻度(1 個が毎秒回る回数)

CS の数 ÷ 全部(C と CS)の数 前提:C + S に戻る速さ ≫ 変換の速さ(迅速平衡)、基質 ≫ 触媒

教科書 第 8 章
有機量子化学特論 第 08 回 触媒の状態と反応の速さ

基質を増やすと、速さはどこまで上がるか 教科書 §8.4〜8.5

K[S]0.01

  • 低い濃度は (一次)、高い濃度は上限 (ゼロ次)
  • が同じなら上限は によらない。前のスライドの式をミカエリス・メンテン型の式と呼ぶ
教科書 第 8 章
有機量子化学特論 第 08 回 触媒の状態と反応の速さ

例題:強く結合する触媒と、速く変換する触媒

触媒 A は が 100 M⁻¹、 が 0.10 s⁻¹、触媒 B は が 10 M⁻¹、 が 0.50 s⁻¹ である。前提は迅速平衡で、基質は触媒よりずっと多く、生成物による阻害はない。基質 1 mM と 100 mM のそれぞれで、 が大きいのは A と B のどちらですか

解き方 なら 、 なら

① 比べる状態同じ基質濃度での A と B

② 式と前提

③ 代入1 mM: は A が 0.10、B が 0.010

 → A が 0.0091、B が 0.0050 s⁻¹

 100 mM: は A が 10、B が 1.0

 → A が 0.091、B が 0.25 s⁻¹

1 mM は A、100 mM は B

④ 意味B は結合が半分でも、1 個が 5 倍速い

教科書 第 8 章
有機量子化学特論 第 08 回 触媒の状態と反応の速さ

演習 A:基質の濃度で、速い触媒を決める

結合の強い触媒は が 500 M⁻¹、 が 0.040 s⁻¹、変換の速い触媒は が 20 M⁻¹、 が 0.40 s⁻¹ である。前提と式は例題と同じ

  1. 基質 1 mM で、結合の強い触媒の何 % が基質と結合していますか
  2. 基質 1 mM と 50 mM のそれぞれで、 が大きいのはどちらの触媒ですか
  3. 「50 mM で変換の速い触媒のほうが速いとすれば、それはこの触媒がほぼすべて基質と結合したからだ」。この説明は正しいですか

、

教科書 第 8 章
有機量子化学特論 第 08 回 触媒の状態と反応の速さ

演習 A の答え(1)

結合の強い触媒は が 500 M⁻¹、 が 0.040 s⁻¹、変換の速い触媒は が 20 M⁻¹、 が 0.40 s⁻¹ である。前提と式は例題と同じ

で半分。1 mM の が 1 より小さければ、半分より少ない

問 1 基質 1 mM で、結合の強い触媒の何 % が基質と結合していますか

① 求めるもの1 mM での

② 式と前提

③ 代入

 

33 %

④ 意味3 分の 2 は空いた C のまま

教科書 第 8 章
有機量子化学特論 第 08 回 触媒の状態と反応の速さ

演習 A の答え(2)

結合の強い触媒は が 500 M⁻¹、 が 0.040 s⁻¹、変換の速い触媒は が 20 M⁻¹、 が 0.40 s⁻¹ である。前提と式は例題と同じ

1 mM は でおよそ 0.02 と 0.008( が 1 に近いと、これより小さい)

問 2 基質 1 mM と 50 mM のそれぞれで、 が大きいのはどちらの触媒ですか

① 比べる状態同じ濃度で、結合の強い方と変換の速い方

② 式と前提

③ 代入1 mM: は 0.50 と 0.020

 → 0.013 と 0.0078 s⁻¹

 50 mM: は 25 と 1.0

 → 0.038 と 0.20 s⁻¹

1 mM は結合の強い方、50 mM は変換の速い方

教科書 第 8 章
有機量子化学特論 第 08 回 触媒の状態と反応の速さ

演習 A の答え(3)

結合の強い触媒は が 500 M⁻¹、 が 0.040 s⁻¹、変換の速い触媒は が 20 M⁻¹、 が 0.40 s⁻¹ である。前提と式は例題と同じ

問 3 「50 mM で変換の速い触媒のほうが速いとすれば、それはこの触媒がほぼすべて基質と結合したからだ」。この説明は正しいですか

① 求めるもの50 mM での変換の速い触媒の

② 式と前提

③ 代入

 

誤り。結合は半分、 が結合の強い触媒の 10 倍

要点:低い濃度では 、高い濃度では が大きい触媒が速い

教科書 第 8 章
有機量子化学特論 第 08 回 触媒の状態と反応の速さ

基質を薄めると、どの状態の が下がるか 教科書 §8.6

例題の A と B が濃度で入れ替わる理由を、 の図で見る。まず A で

[S]1 M

  • C + S の だけが下がる:S が散らばれる分、10 倍薄めると 5.7 kJ/mol 下がる
  • CS と遷移状態は S を触媒の中に含むので、溶液の S の濃度で動かない
教科書 第 8 章
有機量子化学特論 第 08 回 触媒の状態と反応の速さ

速さは、触媒がいる状態から測る 教科書 §8.6

第 4 回:速さは、出発する状態から遷移状態までの の差で決まる(5.7 kJ/mol で 10 倍)

[S]1 mM

  • 休止状態(点線):触媒が多くいる状態。半々なら両方を合わせた状態
  • エネルギースパン(矢印):休止状態から遷移状態までの の差。速さはこの差で決まる
教科書 第 8 章
有機量子化学特論 第 08 回 触媒の状態と反応の速さ

の図で見る:A と B は、なぜ濃度で入れ替わるか 教科書 §8.6

同じ見方で、例題の A と B を比べる

[S]1 mM

  • 1 mM:どちらも C + S から測るので、遷移状態の低い A が速い
  • 100 mM:A は CS から、B は半々の状態から測るので、B が速い
教科書 第 8 章
有機量子化学特論 第 08 回 触媒の状態と反応の速さ

A の CS だけを下げると、速くなるか 教科書 §8.6

A の CS の だけを 5.7 kJ/mol 下げる。遷移状態はそのままなので、 は 10 倍、 は 1/10

[S]100 mMCS の G−11.4

  • 100 mM:毎秒の P は約 1/9(CS は 91 → 99 個、1 個の速さは 1/10)
  • 0.1 mM:毎秒の P はほぼ同じ(0.92 倍。CS は約 1 → 約 9 個)
教科書 第 8 章
有機量子化学特論 第 08 回 触媒の状態と反応の速さ

研究の実例強く結合する酵素は、結合を弱めると速くなるか 小テストの範囲外

前のスライドの逆向き:強く結合しすぎた酵素の結合を弱める

J. Arnling Bååth, K. Jensen, K. Borch, P. Westh, J. Kari, JACS Au 2022, 2, 1223–1231(DOI: 10.1021/jacsau.2c00204)

  • 基質と強く結合する TfC は、界面活性剤で結合を弱めると が最大で約 20 倍になった
  • の図で読むと:CS の が上がり、休止状態から遷移状態までの差が小さくなる
教科書 第 8 章
有機量子化学特論 第 08 回 触媒の状態と反応の速さ

演習 B:どの改変を選ぶか

例題の触媒 B( が 10 M⁻¹、 が 0.50 s⁻¹)の改変を比べる。CS の を、または遷移状態の を 5.7 kJ/mol 下げる

  1. CS を下げた改変の は何 s⁻¹ ですか
  2. 基質 1 mM で、 が大きいのはどれですか
    CS を下げた改変/遷移状態を下げた改変/どちらも同じ
  3. 別の改変は 1 mM で B の約 10 倍速い。 と のどちらが増えたかを見分けるには、どれを測ればよいですか
    (a) 高い濃度での速さ (b) 触媒を 2 倍にした速さ (c) 1 mM での生成物の時間変化
教科書 第 8 章
有機量子化学特論 第 08 回 触媒の状態と反応の速さ

演習 B の答え(1)

例題の触媒 B( が 10 M⁻¹、 が 0.50 s⁻¹)の改変を比べる。CS の を、または遷移状態の を 5.7 kJ/mol 下げる

5.7 kJ/mol は 298 K で 10 倍

問 1 CS を下げた改変の は何 s⁻¹ ですか

① 求めるものCS を下げた改変の

② 式と前提遷移状態はそのまま → CS から遷移状態までが 5.7 大きい

③ 代入5.7 大きいと は 1/10:

0.050 s⁻¹

④ 意味 は 100 M⁻¹ になり、 は B と同じ 5.0 M⁻¹ s⁻¹

教科書 第 8 章
有機量子化学特論 第 08 回 触媒の状態と反応の速さ

演習 B の答え(2)

例題の触媒 B( が 10 M⁻¹、 が 0.50 s⁻¹)の改変を比べる。CS の を、または遷移状態の を 5.7 kJ/mol 下げる

1 mM で なら

問 2 基質 1 mM で、 が大きいのはどれですか
CS を下げた改変/遷移状態を下げた改変/どちらも同じ

① 比べる状態1 mM での B と二つの改変

② 式と前提ミカエリス・メンテン型の式(例題と同じ)

③ 代入 は CS を下げると 0.10、ほかは 0.010

 → B は 0.0050、CS を下げると 0.0045 s⁻¹

 → 遷移状態を下げると 0.050 s⁻¹

遷移状態を下げた改変(B の 10 倍)

④ 意味1 mM では、触媒はほぼ C + S にいる

とを下げるを下げる

を下げる

を下げる

を下げる

教科書 第 8 章
有機量子化学特論 第 08 回 触媒の状態と反応の速さ

演習 B の答え(3)

例題の触媒 B( が 10 M⁻¹、 が 0.50 s⁻¹)の改変を比べる。CS の を、または遷移状態の を 5.7 kJ/mol 下げる

問 3 別の改変は 1 mM で B の約 10 倍速い。 と のどちらが増えたかを見分けるには、どれを測ればよいですか
(a) 高い濃度での速さ (b) 触媒を 2 倍にした速さ
(c) 1 mM での生成物の時間変化

① 求めるもの と を分けて知る測定

② 1 mM(積しか分からない)

③ 高い濃度( だけが分かる)

(a) 高い濃度での速さ

④ 意味(b) は 1 個あたりの速さが同じ、(c) は しか分からない

要点:CS の を下げる(結合を強くする)ことと、遷移状態の を下げることは別

教科書 第 8 章
有機量子化学特論 第 08 回 触媒の状態と反応の速さ

半分になる濃度は、いつも か 教科書 §8.7

は分かった。半分になる濃度から も分かるか

速さが半分になる濃度 前提:定常状態([CS] が時間で変わらない)。 なら (迅速平衡)

  • 触媒 X: は 1.0 mM、 は (10 + 40)/(1.0×10⁴) M = 5.0 mM
  • CS が C + S に戻る前に P へ進むと、半分の濃度は より大きい
教科書 第 8 章
有機量子化学特論 第 08 回 触媒の状態と反応の速さ

速さの曲線が合えば、機構は決まるか 教科書 §8.8

触媒 X の曲線を、迅速平衡で読むとどうなるか

  • 曲線から分かるのは、半分になる濃度 と上限の速さだけ。 は結合を別に測って決める
  • 二つの読み方は同じ曲線を出す。曲線が合っても、機構は一つに決まらない
教科書 第 8 章
有機量子化学特論 第 08 回 触媒の状態と反応の速さ

問い 1 の答え結合の強さだけでは決まらない。使う濃度で選ぶ

問い 1:基質を強く結合する触媒ほどよいか

[S]1 mM

  • 低い濃度は の大きい A(1 mM で約 1.8 倍)、高い濃度は の大きい B(100 mM で約 2.8 倍)
  • 予想の答えは 3。遷移状態が同じなら、結合が強すぎると CS から遷移状態までが大きい
教科書 第 8 章
有機量子化学特論 第 08 回 触媒の状態と反応の速さ

まとめ:問い 1 への答え

教科書 第 8 章
有機量子化学特論 第 08 回 触媒の状態と反応の速さ

教科書で読む範囲 教科書 第 8 章

節 内容
§8.4 遊離の基質濃度と全体の基質濃度(基質が触媒より十分多くないとき)、生成物の解離が遅い場合と生成物による阻害
§8.6 中間体と遷移状態がいくつもあるときのエネルギースパン
§8.6 の発展の箱 休止状態の とエネルギースパン(遷移状態が、休止状態より前にあるときの数え方)
§8.7 の発展の箱 定常状態の式の導き方
§8.7 の小見出し を変えると、半分になる濃度がずれる

この表の内容は読んでおくとよいが、小テストには出さない(小テストはスライドの本編から出す)

教科書 第 8 章
有機量子化学特論 第 08 回 触媒の状態と反応の速さ

次回予告:第 9 回 統合演習:分子と反応の設計案を比較する 教科書 第 9 章

電子供与部位をつないだ蛍光分子

次回の問い

次にどの分子を作り、何を測るか

  • 量子収率と寿命、電子移動の候補、プロトン化の 3 段のデータで答える

今日の復習 演習 A・B、小テスト第 8 回 次回の予習 教科書 §9.1〜9.3

教科書 第 8 章
有機量子化学特論 第 08 回 触媒の状態と反応の速さ

発展:時間があれば・自習用

授業では扱わないことがあるスライド。小テストの範囲外

  1. モデルの前提と適用条件
  2. 定常状態の式を導く
  3. 休止状態の と、エネルギースパンを式で表す
  4. を変えると、半分になる濃度がずれる
教科書 第 8 章
有機量子化学特論 第 08 回 触媒の状態と反応の速さ

モデルの前提と適用条件 教科書 第 8 章 モデルの前提と適用条件

前提 崩れると 確かめる方法
CS の解離は変換より
ずっと速い(迅速平衡)
半分になる濃度が でなく
結合と解離の速さを別に測り、
と を比べる
基質は触媒よりずっと多い 結合で遊離の基質が減り、曲線がずれる 触媒の濃度を変えて測る
初めの速さ(初速度)、
生成物の阻害がない
時間とともに遅くなり、
上限を小さく見積もる
生成物を加えて測る、
時間を追う
触媒の失活・
ほかの休止状態がない
上限が下がり、時間とともに遅くなる。
二量体などでは速さが触媒の量に比例しない
時間を追う、触媒の量を変える、
反応後の触媒を調べる
教科書 第 8 章
有機量子化学特論 第 08 回 触媒の状態と反応の速さ

定常状態の式を導く 教科書 §8.7 の発展

前提:CS の量が一定(定常状態)、基質は触媒より十分多い

  • 、
  • 収支 と合わせて
  • 迅速平衡は の場合:
  • この式は、酵素の速さで使うミカエリス・メンテンの式と同じ形
教科書 第 8 章
有機量子化学特論 第 08 回 触媒の状態と反応の速さ

休止状態の と、エネルギースパンを式で表す 教科書 §8.6 の発展

休止状態の  ・ は段の  前提:迅速平衡、遷移状態は一つ

  • 二つの状態をボルツマンの重みで合わせた (第 2 回の分配関数と同じ)
  • 半々のとき: なら は (1.7 kJ/mol)低い。二つの状態に散らばれる分で、第 2 回の等価な gauche と同じ
  • 例題の A の 100 mM:CS が 、C + S が → が 。 が 67.3 なので、エネルギースパン 79.0 kJ/mol、0.091 s⁻¹
教科書 第 8 章
有機量子化学特論 第 08 回 触媒の状態と反応の速さ

を変えると、半分になる濃度がずれる 教科書 §8.7

変換の速さ k0.10 s⁻¹

  • 触媒 X( が 1.0×10⁴ M⁻¹ s⁻¹、 が 10 s⁻¹、 が 1000 M⁻¹)の だけを変える
  • が 40 s⁻¹ だと、半分になる濃度は 5.0 mM で、 の 1.0 mM の 5 倍
教科書 第 8 章

時間: 0.5 分 時間が足りなければ:省く順は 研究の実例をノートの 1 行だけにする(1.5 分)、演習 A の答えの問 1 を答えの行だけにする(1 分)、演習 B の答えの問 1 も同じ(1 分)、問い 1 の答えの動く図は 1 mM と 100 mM だけ押す(0.5 分)。

時間: 2.5 分 問いかけ:ノートを見ずに、と言ってから 2 分考えさせ、答えを口頭で言う。 見せ方:右の図は前回の説明の図のうち (b)(c) の 2 組((a) 濃度を 2 倍は外した)。 言うこと:1 は、吸収の強い色素の無放射過程の速度定数 k_nr が、吸収の弱い色素の 140 倍。量子収率は k_r と k_nr の競争(Φ = k_r/(k_r + k_nr))で決まる。 言うこと:2 は寿命 τ。k_r が増えると τ は短く、k_nr が減ると τ は長くなる。 言うこと:今日は「一つの状態から進む過程どうしの競争」を、触媒がいくつかの状態に分かれている場合に広げる。

時間: 2.5 分 見せ方:図の反応式の記号の下の言葉を指す:C は空いた触媒、S は基質、CS は基質と結合した触媒、P は生成物。K は結合の平衡定数、k は CS の中で S が P に変わる速度定数。A は B の 10 倍強く基質と結合し、B は A の 5 倍速く変換する。 問いかけ:三択から予想を心の中で選ばせる(書かせない・集めない)。答え合わせは「問い 1 の答え」のスライドで、ここでは答えを言わない。 つまずき所:1 は「強く結合する=よい触媒」と考える答え。2 も一つの量だけで決めている。 言うこと:予想を選ばせたあとで:触媒の設計(配位子・ポケットの改変、酵素の変異)で、結合を強くしたのに速くならない例は多い(今日の研究の実例の PET 分解酵素 TfC は、結合を弱めると約 20 倍速くなった)。

時間: 0.5 分 見せ方:上の帯を指して一言。第 III 部の 2 回目。第 2 回の存在比、第 4 回の「障壁は出発する状態から測る」、第 7 回の「一つの状態から進む過程どうしの競争」を使う。 言うこと:最後の一行:例題・演習の数値は実在の触媒の値ではない。研究の実例だけは論文の値。

時間: 2.5 分 見せ方:左は一回りの図(触媒の結合部位に S が入り、P に変わって離れ、触媒が元に戻る)。右は同じ一回りを G の図(模式)の上で二回り。点の色は青が S を抱えている間、橙が遷移状態を越えて P になった後。 見せ方:「▶ 二回り」(約 12 秒):結合 → CS にとどまる(点が CS の極小のまわりで小さく動く。ここにいる触媒の数が [CS])→ 遷移状態を越えて S が P に → P が離れる → C に戻り次の S。 見せ方:止まったら:触媒は二回りしても同じ。つまみを左から動かし、札が「1 回目 CS」になった所で止めて、v = k[CS] を指す。 見せ方:ボタンとつまみのクリックはスライド送りに渡さない。つまみを動かすと自動の再生は止まる。 言うこと:図の札の TS は遷移状態。本文では「遷移状態」と書き、図の札だけ TS と略す。 言うこと:解離が遅い場合と生成物阻害は教科書で読む。

時間: 3 分 見せ方:左から右へ:K[S] が 0.1 なら 100 個のうち CS は 9 個、1 なら 50 個、10 なら 91 個。印 1 つが触媒 1 個。 言うこと:[CS]/[C] = K[S] は二つの状態の比(第 2 回の存在比と同じ考え方。ここでは基質の濃度で比が動く)。収支 [C] + [CS] = [C]total と合わせると式の θ が出る。 言うこと:v = k[CS] を [C]total で割ると kθ。触媒を 2 倍入れれば v も 2 倍になるので、触媒 1 個あたりで比べる。 つまずき所:K は M⁻¹、[S] は M にそろえる。mM のまま入れない。 言うこと:酵素では k を k_cat と書く。迅速平衡が崩れる例は、この回の後半で扱う。

時間: 3 分 見せ方:左は速さ(上限 k を 1 とする)と K[S] の両対数。破線は二つの近づき方。右は触媒 100 個の内訳と、両対数の傾き(見かけの次数)。特定の触媒の値は使わない。「K を 10 倍」は k を変えない場合で、遷移状態の G も一緒に下がる(A の CS だけを下げるスライドは遷移状態を固定するので、k も変わる)。 見せ方:つまみを左端から右へ:CS が増え、速さは上限に近づき、傾きは 1 から 0 へ。 見せ方:つまみを左端に戻して「K を 10 倍にする」:元の曲線が灰の破線で残り、低い濃度ではほぼ 10 倍上(K[S] 0.01 で 0.0099 → 0.091、9.2 倍)。半分になる所は 1 → 0.1。 見せ方:つまみを右端へ:二つの曲線が重なる(上限は k のまま)。 言うこと:「次数」は反応式の係数ではなく、濃度を変えたときの速さの変わり方。 見せ方:つまみのクリックはスライド送りに渡さない。

時間: 4.5 分 問いかけ:スライドを開いたら、まず「1 mM と 100 mM で、どちらが速いと思うか」と聞く(10 秒)。そのあと概算の箱を読み、「何を比べる?」「どの式?」と聞いてから、1 段ずつ開く。 見せ方:右の列は動く式(問いの図の下に式が 1 手ずつ足される。→ キーの段と一緒に進む)。図の破線は上限 k。「点が破線より上に来ることはない」と破線を指してから解かせる。 見せ方:答えの段で図が完成版に替わる:1 mM では A の点が上、100 mM では B の点が上。B の点は上限のちょうど半分。 見せ方:意味の段で粒の絵に替わる:触媒 100 個あたり毎秒の P は、1 mM で A が 9 個 × 0.10 = 0.91、B が 1 個 × 0.50 = 0.50。100 mM で A が 91 個 × 0.10 = 9.1、B が 50 個 × 0.50 = 25。 言うこと:入れ替わる濃度は「問い 1 の答え」のスライドで出す。 つまずき所:強く結合する A がどの濃度でも速いと考える。[S] を mM のまま入れる(K[S] が 1000 倍になる)。100 mM で「両方が飽和したから B が速い」と説明する(B は半分しか結合していない)。

時間: 6 分 見せ方:個人で 6 分 → 答えのスライド。右の図は考えるための問いの図(例題と同じ対数の図。破線が上限 k、1 mM と 50 mM の点が ?。青が結合の強い触媒、橙が変換の速い触媒)。「? の点を置く」と言ってから解かせる。解いている間、講師は前で待ち、決めた時刻に全体へ一言かける(教室は回らない)。 見せ方:問 1 は短く、問 2 は例題と同じ手順、問 3 は例題の意味の段と同じことを自分で確かめる、と言ってから始める。問 3 には選んで判定するボタンがある(投影の HTML でだけ出る)。解く時間が終わってから、手を挙げさせた答えを押して見せ、答えのスライドへ進む。 言うこと:聞かれたら:1 mM で結合の強い触媒の θ 0.333、v は 0.0133 と 0.00784。50 mM で 0.0385(θ 0.962)と 0.200(θ 0.50)。入れ替わりは 3.3 mM。 時間が足りなければ:問 1 を削る(問 2 の途中で出てくる)。答え(1)のスライドは答えの行だけ見せる。

時間: 1 分 見せ方:答えを → キーで 1 段ずつ開く(この問は図なし)。 つまずき所:500 × 1 = 500 とした学生には、[S] を M に直すことを指す。 時間が足りなければ:→ を続けて押して答えの行まで開き(10 秒)、次のスライドへ。

時間: 1.5 分 言うこと:概算の箱:1 mM の結合の強い触媒は K[S] が 0.50 で、十分小さくはないので、答え(0.013)は見込み 0.02 より小さい。50 mM の変換の速い触媒は K[S] が 1.0 で、上限の半分(問 3)。 見せ方:右の列は動く式。問いの図の下に、式、1 mM の代入(K[S] は 0.50 と 0.020)、50 mM の代入(K[S] は 25 と 1.0)が出て、答えで図が完成版に替わる:1 mM は青の点が上、50 mM は橙の点が上。橙の点は上限 0.40 の半分、青の点は上限 0.040 のすぐ下(96 %)で、問 3 につながる。 言うこと:聞かれたら、入れ替わるのは 3.3 mM(二つの v/[C]total が等しい [S] を解く)。

時間: 1.5 分 言うこと:答えのあとで口で:結合の強い触媒は 96 % 結合しても、上限 k が 0.040 なので 0.038 止まり。 見せ方:右の列は動く式。問 2 の答えまで入った途中の図(枠の長さが上限 k。塗りと結合の割合は ?)の下に、θ の式、K[S] = 20 × 0.050 = 1.0、θ = 50 % が出る。答えで図が、塗りの入った完成版に替わる。 つまずき所:「速さの順位が入れ替わった=両方が飽和した」と読む。変換の速い触媒は半分しか結合していない。

時間: 2.5 分 言うこと:基準は C + S(1 M)。薄い溶液の中の S は散らばれる場所が多い(エントロピーが大きい)ので、C + S の G が下がる。 見せ方:ボタンを 1 M から順に押し、5.7 ずつ下がることを言う(RT ln 10 = 5.7 kJ/mol)。 見せ方:10 mM で C + S と CS が同じ高さになる。これは [S] = 1/K で、CS が半分になる濃度と同じ。 言うこと:聞かれたら、CS の −11.4 は −RT ln K(K = 100)、遷移状態の 67.3 は CS に 78.7(k = 0.10 s⁻¹ を第 4 回のアイリングの式で G の差に直した値)を足したもの。 見せ方:つまみ・ボタンのクリックはスライド送りに渡さない。

時間: 3 分 言うこと:触媒は C + S と CS の二つに分かれている。どちらから測るかは、触媒がどちらに多くいるかで決まる。 見せ方:1 mM:CS は 9 個、矢印 84.7。10 mM:半々(50 個)、矢印 80.5。100 mM:CS は 91 個、矢印 79.0。点線が休止状態の G、矢印がエネルギースパン。 言うこと:1 mM と 100 mM の矢印の差は 5.7 で、速さは 10 倍(触媒 100 個で毎秒 0.91 → 9.1 個の P)。例題で出した値と同じになる。 言うこと:点線は二つの状態を合わせた G で、一方の段のぴったりの高さではない。半々のときは二つに分かれた分だけ、どちらの段より RT ln 2 = 1.7 低い(第 2 回の等価な gauche と同じ。式は発展 3)。矢印は点線から測るので、1 mM は 67.3 + 17.4 = 84.7。 見せ方:つまみ・ボタンのクリックはスライド送りに渡さない。

時間: 2.5 分 見せ方:左は A と B の G の図(横は状態の並び)。[S] のつまみで C + S の段が動く。点線は休止状態の G、矢印はエネルギースパン。右は速さの曲線と今の点、どちらが何倍速いか。 見せ方:「1 mM」:A が 1.8 倍速い(矢印の差 1.5)。「12.5 mM」:ほぼ同じ(入れ替わる所)。「100 mM」:B が 2.8 倍速い(矢印の差 2.5)。つまみを連続して動かし、A の点線が C + S から CS へ移っていくことを見せる。 言うこと:各段の G(C + S(1 M)を 0、298 K。縦軸の途中は省いている):A は CS −11.4、遷移状態 67.3。B は CS −5.7、遷移状態 69.0。 言うこと:聞かれたら、1 mM で遷移状態どうしの差 1.7 より矢印の差 1.5 が少し小さいのは、A の 9 % が CS にいるから。 見せ方:つまみ・ボタンのクリックはスライド送りに渡さない。

時間: 3 分 言うこと:CS の G を下げること(結合を強くする)と、遷移状態の G を下げることを区別するスライド。結合の強さだけを一つ変える。K は 100 → 1000 M⁻¹、k は 0.10 → 0.010 s⁻¹。kK は 10 のまま。 見せ方:G の図(kJ/mol、298 K、C + S(1 M)を 0)。初めは例題の A、100 mM。点線は休止状態の G、矢印はエネルギースパン。右は触媒 100 個の内訳と速さ。 見せ方:初め:CS 91 個、エネルギースパン 79.0、触媒 100 個で毎秒 9.1 個の P。「CS を 5.7 下げる」:CS 99 個、84.5、毎秒 0.99 個(右の欄の「今はその 0.11 倍」=約 1/9)。 見せ方:CS を下げたまま [S] を 0.1 mM に:右の欄は「今はその 0.92 倍」。触媒がほぼ C + S にいるあいだは、kK で決まるので速さはほとんど変わらない。 言うこと:聞かれたら、1 mM では 0.0091 → 0.0050 s⁻¹(0.55 倍)。「約 1/9」は 100 mM での値で、濃度を下げるほど差は小さい。 言うこと:第 4 回の「障壁は出発する状態から測る」と同じ。中間体と遷移状態がいくつもあるときは教科書で読む。 見せ方:つまみ・ボタンのクリックはスライド送りに渡さない。

時間: 2 分 言うこと:研究の実例で、小テストの範囲外。 見せ方:図の左は基質 PET の繰り返し単位(加水分解されるエステルを橙)。見出しの問いへの答えは 1 つ目の箇条。 言うこと:図の見出しの k_cat は本編の k、K_D は本編の 1/K(M の単位。小さいほど強く結合する)。 言うこと:TfC は強く結合しすぎていて、触媒の多くが CS にいる(休止状態が CS)。結合を弱めると CS の G が上がり、エネルギースパンが小さくなる。基質(PET の表面)は十分あるので、結合の割合はあまり減らない。 言うこと:論文のまとめ:結合は強すぎても弱すぎても遅く、間に最適がある(論文の題のサバティエ原理)。遷移状態の G を固定したこの回のモデルからは「弱すぎて遅い」は出ない。 言うこと:聞かれたら(50 °C):K_D は TfC 22 nM、LCC 260 nM。TfC の k_cat はそのままで約 0.04 s⁻¹、界面活性剤(CTAB)で結合を弱めると約 0.8 s⁻¹。LCC は基質との結合が約 12 倍弱い別の PET 分解酵素。界面活性剤で k_cat が約 5 倍に上がり、最も速いときで 1.6 s⁻¹(論文の本文)。そこから見積もると、界面活性剤なしでも TfC(0.04 s⁻¹)より速い(本文に値は無い)。 言うこと:注意:不溶性の基質の表面で働く酵素なので、結合の強さは見かけの値。界面活性剤のほかの効果が混じっている可能性もある。 言うこと:聞かれたら(関連):同じグループはセルラーゼ 83 種で「結合を強くすると変換が遅くなる」比例則を見つけた。有機合成の触媒では、Suzuki 反応の計算の火山型プロットがある。

時間: 6 分 見せ方:個人で 6 分 → 答えのスライド。図の 3 つの G の図で、灰の破線がもとの B。CS を下げる改変は CS だけ、遷移状態を下げる改変は遷移状態だけが破線から動いていることを指してから始める。解いている間、講師は前で待ち、決めた時刻に全体へ一言かける(教室は回らない)。 見せ方:問 2 と問 3 には選んで判定するボタンがある(投影の HTML でだけ出る)。解く時間が終わってから、手を挙げさせた答えを押して見せ、答えのスライドへ進む。 言うこと:問 1 は短く、問 2 は A の CS だけを下げたスライドと同じ考え方、問 3 は「このデータでは決められない。何を測れば分かるか」を選ぶ問、と言ってから始める。 言うこと:聞かれたら:1 mM で B 0.00495、CS を下げた改変 0.00455、遷移状態を下げた改変 0.0495 s⁻¹。CS を下げた改変は K 100、k 0.050。遷移状態を下げた改変は K 10、k 5.0。 時間が足りなければ:問 1 を削る(問 2 の答えの中で出てくる)。答え(1)のスライドは答えの行だけ見せる。

時間: 1 分 見せ方:図で、矢印の G の差がそれぞれ K・k・kK を決めることを指す。CS を下げると K の矢印が伸び、k の矢印も伸び、kK の矢印は変わらない。 見せ方:答えを → キーで 1 段ずつ開く。 時間が足りなければ:→ を続けて押して答えの行まで開き(10 秒)、次のスライドへ。

時間: 2 分 言うこと:概算の箱:K[S] が 1 よりずっと小さければ、積 kK で比べてよい。kK は B と CS を下げた改変が 5.0、遷移状態を下げた改変が 50。 見せ方:右の列は動く式。問いの図(1 mM の G:C + S は −17.1。矢印は無い)の下に、式、K[S]、分数が順に出る。「1 mM で、いちばん低いのはどこか」と聞き、C + S を指す。答えで図が、矢印の入った完成版に替わる:CS を下げても(−11.4)C + S より上なので、触媒はほぼ C + S(CS は 9 %)。遷移状態を下げた改変の矢印は 5.7 短い → 10 倍。 つまずき所:CS を下げた改変を選んだ学生には、A の CS だけを下げたスライドの 0.1 mM(速さはほとんど変わらない)を思い出させる。 言うこと:聞かれたら、エネルギースパンは B 86.2、CS を下げた改変 86.4、遷移状態を下げた改変 80.5 kJ/mol。CS を下げた改変が少し遅いのは 9 % が CS にいるから。

時間: 1.5 分 問いかけ:1 mM ではどちらでも約 10 倍になる(問題文のとおり)。違いが出るのはどこか、と問う。 見せ方:問題文の下の図は問いの図(灰の破線がもとの B。k だけ 10 倍(橙)と K だけ 10 倍(青)の二本は 1 mM までだけ描いてあり、そこではほぼ重なる)。「この先、二本はどうなるか」と聞いてから開く。答えのあと → で完成版に替わる:高い濃度では k が 10 倍は 5.0 へ、K が 10 倍はもとの B と同じ 0.50 へ分かれる。 言うこと:高い濃度の速さで k が分かれば、1 mM の速さから K も出る、と言いたくなる。次のスライドでこれを確かめる。

時間: 3 分 言うこと:例題では結合を平衡とした。k がずっと大きい触媒 X でも、それでよいかを確かめるスライド。X は k_on 1.0×10⁴ M⁻¹ s⁻¹、k_off 10 s⁻¹、k 40 s⁻¹。K = k_on/k_off = 1000 M⁻¹ なので 1/K は 1.0 mM。 言うこと:図は CS から出る二つの過程:解離して C + S に戻る(k_off)と、変換して P へ進む(k)。第 7 回の「一つの状態から進む過程どうしの競争」と同じ形。X は k_off 10、k 40 s⁻¹ → 進む割合 0.80。 言うこと:K_M = (10 + 40)/(1.0×10⁴) M = 5.0 mM。結合の強さから予想した 1.0 mM の 5 倍。 言うこと:結合を平衡とみなせるかは、K の大きさではなく k/k_off で決まる。第 4 回の「配座の変換が反応より速い/遅い」と同じ。式の導き方は発展 2、k を動かして確かめる図は発展 4。 言うこと:聞かれたら、「結合と解離の速さを別に測る」方法は、反応しない基質の類似体や、反応より速い分光の測定。

時間: 2 分 言うこと:データに合う機構と、一つに決まった機構を区別するスライド(第 5 回の KIE、第 7 回の量子収率だけでは k_r と k_nr を分けられなかったのと同じ)。 言うこと:定常状態で読むと触媒 X(K 1000 M⁻¹、k_off 10、k 40 s⁻¹ → K_M 5.0 mM)。迅速平衡で読むと K 200 M⁻¹(1/K = 5.0 mM)、k 40 s⁻¹。どちらも v/[C]total = 40[S]/(5.0 mM + [S])。 言うこと:見分ける測定(口で):結合だけを別に測る(反応しない類似体、反応より速い分光の測定)、生成物ができはじめる前の短い時間の測定、同位体で k を変えて K_M が動くかを見る(第 5 回)。

時間: 2 分 見せ方:「1 mM」を押して 10 秒ほど数える(A は平均で毎秒 0.91、B は 0.50)。「100 mM」を押す(A は 9.1、B は 25)。「12.5 mM」は数を比べさせず、右の「ほぼ同じ」と曲線を指す(どちらも平均 5.6)。数は乱数でばらつくので、「平均」と言う。 言うこと:画面の C と CS の入れ替わりの速さは見やすさのため。モデルでは解離は変換よりずっと速い。 言うこと:冒頭の予想の答え合わせ。1(A)を選んだ人が多ければ、100 mM の B の印を指す:半分しか結合していないのに速い。 言うこと:聞かれたら、入れ替わる濃度は二つの kK[S]/(1 + K[S]) を等しいとおいて解く:10/(1 + 100[S]) = 5/(1 + 10[S])、[S] は M で 12.5 mM。 言うこと:速さはエネルギースパンで決まるので、強く結合しすぎると触媒が CS にたまり、CS から遷移状態までが大きくなる(100 mM で A の CS を 5.7 下げると約 1/9)。 見せ方:つまみ・ボタンのクリックはスライド送りに渡さない。

時間: 2 分 見せ方:図の三つの欄(CS の数 × 1 個の速さ、休止状態から遷移状態まで、速さの曲線から分かること)を左から指し、下の答えの 2 文を読む。 言うこと:100 mM でも B の結合は 50 %、と一言添える。

時間: 1 分 言うこと:表の節と発展の箱は、自習で読む所(教科書第 8 章、10 節)。中身は小テストの範囲外(表の下の一行)。

時間: 1 分 言うこと:次回は新しい理論を増やさず、データを段階的に出して、第 7 回(k_r と k_nr)・第 6 回(電子移動の通常領域)のモデルを選んで使う。今日の「データに合う機構と、一つに決まった機構を分ける」もそのまま使う。

言うこと:前提が崩れる例(変換が速い触媒 X、速さの曲線だけでは K が決まらない)は本編で扱ったので、この表はまとめ直し。時間があれば使う。 言うこと:表の行:迅速平衡(K だけでは保証できない。変換との時間尺度も要る)、基質過剰、初速度と生成物の阻害、失活とほかの休止状態。

言うこと:迅速平衡近似が成り立つ例:結合速度定数 10⁷ M⁻¹ s⁻¹、解離速度定数 A 10⁵・B 10⁶ s⁻¹ で K 100・10 M⁻¹。定常状態の式 kk_on[S]/(k_off + k + k_on[S]) との相対差は、0.001〜1 M の範囲で最大 9.1×10⁻⁷(A。教科書 §8.7 と同じ)で、10⁻⁵ 未満。もっと薄い極限でも A の k/k_off = 1.0×10⁻⁶ まで。これらの速度定数も実測値ではない。 言うこと:酵素では k を k_cat と書き、K_M をミカエリス定数と呼ぶ。

言うこと:聞かれたら、A は G_CS = −RT ln 100 = −11.42、G_TS = G_CS + RT ln(k_B T/(h k)) = −11.42 + 78.73 = 67.32。100 mM で G_C+S = −5.71、休止状態の G −11.65、エネルギースパン 78.97 kJ/mol、v = 0.0909 s⁻¹(ミカエリス・メンテン型の式と一致)。B は 100 mM で 76.46、0.25 s⁻¹。 言うこと:10 mM の A:点線 −13.1。矢印は 67.32 + 13.13 = 80.45 で 80.5。 言うこと:添字の rest は、触媒がとどまっている状態(resting state)の意味。 言うこと:中間体と遷移状態がいくつもある触媒の一回りでは、この考え方を広げて「どの中間体から、どの遷移状態まで」を選ぶ(エネルギースパンの考え方。教科書で読む)。

見せ方:左の破線は結合だけの平衡(θ)、実線は反応しているときの速さを上限 k で割ったもの。右は速さが半分になる濃度と、結合だけの何倍か。 見せ方:「k = 0.1」:二つの曲線が重なる(半分は 1.0 mM)。つまみで k を上げる:実線が右へ。「k = 40」:半分は 5.0 mM(5 倍)。1 mM では、迅速平衡の予想 20 s⁻¹ に対し 6.7 s⁻¹。 見せ方:つまみ・ボタンのクリックはスライド送りに渡さない。