問い 1次にどの分子を作り、何を測るか ← 3 段のデータで答える
今日の分子と数値は、説明のために選んだもの(研究の実例を除く)
F 単独の
解き方
① 求めるものF 単独と D–F の
② 式と前提
③ F の代入
④ D–F の代入
⑤ 意味
F 自身の無放射過程
電荷分離の状態 D•⁺–F•⁻:D が電子を 1 つ失い、F が 1 つ受け取った状態
D–F は
D–F は
問 1 電子移動の速さ
① 式と前提
② 代入
問 2 励起した D–F のうち、電子移動を経て基底状態へ戻るものの割合はいくつですか
① 式と前提割合
② 代入
D–F は
問 3 カップリング・
(a) 電子供与性の高い D(酸化電位が低い)
(b) 電子供与性の低い D(酸化電位が高い)
① 仮説と前提電子移動の仮説。通常領域(
② 推論電子供与性の低い D では、D–F* と比べて電荷分離の状態の
→ 交点が上がり、障壁が高くなる
(b) 電子供与性の低い D(酸化電位が高い)
③ 意味この向きは、仮説と通常領域のもとでの予測
D–F は
電子移動が
問 4 電子供与性の低い D′ の D′–F で
① 式と前提問題文の 2 式(分母は全体の速さ)
② 代入
全体の速さ
③ 意味光るのは 25 個。F 単独の 50 個に届かない
| 領域 | 電子移動が遅くなるのは(二つの D が同じ領域のとき) |
|---|---|
| 通常領域( |
電子供与性の低い D |
| 逆転領域( |
電子供与性の高い D |
プロトン化した D–F の
プロトン化した D–F の
問 1 プロトン化した D–F の
① 式と前提
② 代入
F と比べる:
③ 意味F 単独より
プロトン化した D–F の
問 2 「プロトン化で明るさが戻ったので、D–F が暗いのは電子移動によると確定した」。正しいですか
① 仮説と前提データは、電子移動の仮説の予測(プロトン化で明るさが戻る)と合う
② 推論プロトン化は、構造やほかの無放射過程も変えうる
電荷分離の状態そのものは見ていない
第 8 回と同じく、データに合う機構と、一つに決まった機構は別
誤り。データは仮説を支持するが、機構は確定しない
どちらでも同じデータ。これでは分けられない
プロトン化した D–F の
問 3 D–F で電子移動を直接確かめるため、次に測るのはどれですか
(a) 時間分解の吸収(励起後の吸収の変化を追う)
(b) 吸収スペクトルの強さ(吸収帯の面積)
(c) 濃度を変えた量子収率(濃度ごとに測る)
① 仮説と前提電子移動なら D•⁺ と F•⁻ ができる
② 推論D•⁺ と F•⁻ の吸収が現れて消える様子を見る
(a) 時間分解の吸収
③ 意味現れなければ、戻りが速くてたまらないか、仮説が違う
要点:データに合う説明と、決まった機構を分ける。決まっていないことを減らす測定を選ぶ
A. P. de Silva, R. A. D. D. Rupasinghe, J. Chem. Soc., Chem. Commun. 1985, 1669(DOI: 10.1039/c39850001669);T. Miura ら, JACS 2003, 125, 8666(DOI: 10.1021/ja035282s)
問い 1:次にどの分子を作り、何を測るか
| 節 | 内容 |
|---|---|
| §9.3 の発展の箱 | 電位と励起エネルギーから駆動力を計算する式 |
| §9.4 の発展の箱 | 設計の向きが入れ替わる |
| §9.5 の発展の箱 | 電荷分離の状態が、時間分解の吸収でどう現れるか |
| §9.6 | 競合する説明と、設計のトレードオフ |
| §9.7〜9.8 | 次の一手の候補の比べ方、予測が外れたときの設計案の直し方 |
| §9.9 | もう一つの例:配座と競合経路による反応選択性(第 4 回の例題を読み直す) |
この表の内容は読んでおくとよいが、小テストには出さない(小テストはスライドの本編から出す)
今日の復習 演習 A・B、小テスト第 9 回
| 前提 | 崩れると | 確かめる方法 |
|---|---|---|
| 発光する種は 1 つ、減りは 1 本の指数関数。 吸収した光はすべて S₁ になる( |
平均の寿命と全体の 速さが、どの種の値にもならない |
減衰の形と、 プロトン化の割合を調べる |
| F 自身の無放射過程は F 単独と同じ |
電子移動の速さと読めない |
構造が近く電子を渡せない類似体 (D の N をアミドにする、など)と比べる。 プロトン化体は F 自身の分も変わりうる |
| 電子移動は通常領域 | 電子供与性の低い D で、 逆に速くなることがある |
駆動力の違う D を並べて |
| カップリング・ 励起状態は改変で変わらない |
駆動力だけで |
吸収・発光の位置、溶媒、構造を確かめる |
二つの電位は同じ溶媒・同じ基準で測る
D′ は
時間: 0.5 分 時間が足りなければ:省く順は、演習 A の問 2(割合)、研究の実例を 1 分に(図と 1 つ目の箇条だけ)、演習 B の問 2 は答えと完成版の図だけ(0.5 分に)。発展は授業で開かない。
時間: 2.5 分 問いかけ:ノートを見ずに、と言ってから 1 分半考えさせ、答えを口頭で言う。 言うこと:1 は、低い濃度では速さが kK[S] で決まり、A の kK が B の 2 倍だから(結合だけ強くした改変は速くならなかった)。高い濃度では変換の速さ k が決める。 言うこと:2 は結合の強さ K。データに合う機構と、一つに決まった機構は別。 言うこと:今日は新しい理論を足さず、第 1〜8 回のモデルから使うものを選ぶ。
時間: 3 分 見せ方:左の粒から指す。印 1 つが、励起した分子 1 個。F 単独は半分が光り、D–F は 5 個しか光らない。 見せ方:図の下の構造:D は三級アミン(N に電子対がある)で、CH₂ を挟んで蛍光団につながる。 言うこと:アミンをつないだ蛍光プローブ(H⁺ や金属イオンが付くと光るようになる分子)の形。 問いかけ:三択から予想を心の中で選ばせる(書かせない・集めない)。答え合わせは「問い 1 の答え」のスライドで、ここでは答えを言わない。 言うこと:今日の目標:暗い D–F について、データを 3 段で見ながら、次に作る分子と次に測るものを選ぶ。
時間: 0.5 分 見せ方:上の帯:第 III 部の 3 回目、この授業の最終回。第 6 回(マーカス)、第 7 回(k_r と k_nr)、第 8 回(データに合う機構と決まった機構)を使う、と帯を指して一言。 言うこと:3 段とも、問い 1 に向けて進む。最後の一行:研究の実例だけは論文の話。
時間: 1.5 分 見せ方:3 つの箱を左から指す。観測結果は測った値そのもの、推測はモデルと前提から言えること(前提が崩れれば変わる)、未確定はこのデータでは決まらないこと。 言うこと:データが出るたびに 3 つの箱に分ける。未確定を減らす測定を選ぶのが「何を測るか」、前提を確かめた推測から選ぶのが「何を作るか」。 つまずき所:Φ と τ から出した k_r・k_nr を「測った値」の箱に入れる。式と前提(発光する種は 1 つ)を通した値なので推測。
時間: 2 分 見せ方:棒の値(F 単独 0.50・5 ns、D–F 0.05・0.5 ns)。量子収率 0.50 は、p.3 の 100 個のうち 50 個。吸収の強さはほぼ同じ。 言うこと:前提の行:発光する種が 2 つあると、測った τ はどちらの値でもなくなり、次の式が使えない。吸収した光はすべて S₁ になるともする(第 7 回)。 問いかけ:Φ と τ のどちらも 1/10。何が変わったか。 言うこと:第 7 回の動く図では、k_nr を上げると Φ も τ も下がった。次の例題で数字にする。
時間: 4 分 言うこと:「解き方」の横の概算の箱:計算の前に、Φ と τ が同じ割合で縮めば k_r = Φ/τ は変わらない、と見込んでおく。 問いかけ:開く前に「何を求める?」「どの式?」と聞いてから、解き方を 1 段ずつ開く。 見せ方:右の列は動く式。問いの図(縦は速さの対数。F の 2 点は 10⁸ に並び、D–F は ?)の下に、式と F の値、D–F の値が順に入る。「D–F の 2 点はどこに行くか」と ? を指す。 見せ方:答えで k_nr の比 19 が出て、図が完成版に替わる:k_r(橙)は F と D–F で水平、k_nr(灰)は 19 倍に上がる。 言うこと:式は第 7 回。同じ励起状態から起こる二つの過程の速さを分ける。手早く進める。 つまずき所:Φ が 1/10 なので k_r が 1/10 と読む。ns を s に直し忘れる。「k_nr が増えた=電子移動」とすぐに決める(次のデータで候補が出る)。
時間: 2 分 見せ方:右の粒から。行き先の数の比は、速度定数の比そのもの。F は 1 : 1 で 50 個と 50 個、D–F は 1 : 19 で 5 個と 95 個。95 個の中身はまだ「?」。 見せ方:左の箱:観測、推測、未確定を上から指す。 言うこと:F 自身の無放射過程は、ねじれや項間交差のように D が無くても起こるもの。以後この名前と記号 k_bg を使う。 つまずき所:吸収が同じでも、F 自身の無放射過程が D–F で同じことまでは保証しない(未確定の箱)。 言うこと:候補は、ねじれ、項間交差、電子移動による消光(第 6 回)。次のデータで絞る。
時間: 2 分 言うこと:D の酸化電位、F の還元電位、励起エネルギーを測った。教材の値で、実在の分子の値ではない。 見せ方:左の段から。基底状態を 0 として、緩和した励起状態 D–F* は 242(E₀₀。1 eV が 96.5 kJ/mol)。電位の差 2.20 V に 96.5 を掛けると、電荷分離の状態は 212。二つの電位は同じ溶媒・同じ基準で測った値。 言うこと:D–F* と比べて 30 低い。負なので、励起した F へ D から電子が移れる。基底状態からでは 212 上がるので移れない。励起エネルギーの分だけ移りやすくなる。 言うこと:式の説明は発展 2。ここでは段の高さだけ見る。
時間: 2.5 分 見せ方:左:D と F の箱と、まわりの溶媒の向き(緑。第 6 回と同じ描き方)。右:G の曲線(模式)。D–F*(橙)、D•⁺–F•⁻(紫)、λ 80。基底状態 D–F(青)は縦の途中を省略している。 見せ方:「▶ 光を当てる」で約 11 秒、段の名前が右上に出る。光を吸収して F が励起する。核と溶媒の揺らぎで交点まで動く。交点で電子が D から F へ移る。溶媒が並び直す。光を出さずに基底状態へ戻る。溶媒が元の並びに戻る。 言うこと:左の橙の直線「蛍光」は別の過程(D–F では 1 割に満たない)。溶媒の棒は、D•⁺ に δ− の端、F•⁻ に δ+ の端を向ける。 言うこと:これは仮説。以後「電子移動の仮説」と呼ぶ。 言うこと:前提の行:λ 80 は仮定。本当に通常領域かは、あとで確かめる。 つまずき所:カップリングを聞かれたら、D と F の電子の結びつきの強さという意味だけで使う(軌道の議論には入らない)。
時間: 6 分 見せ方:個人で 6 分 → 答えのスライド。右の図は考えるための問いの図(上:励起した D–F 100 個の内訳。電子移動の分が ?。下:D–F* と D•⁺–F•⁻ の G の放物線と障壁)。「上の ? を埋める」「下の図で、D′ に替えると D•⁺–F•⁻ の放物線はどちらへ動き、交点はどうなるか」と言ってから解かせる。 見せ方:解いている間、講師は前で待ち、決めた時刻に全体へ一言かける(教室は回らない)。問 3 には選んで判定するボタンがある(投影の HTML でだけ出る)。解く時間が終わってから、手を挙げさせた答えを押して見せ、答えのスライドへ進む。 言うこと:問 1 は入り口(k_nr から k_bg を引く)。問 2 は割合の分母。問 3 は第 6 回。問 4 は第 7 回の式の数値替え。 言うこと:答えの値:問 1 は 1.8×10⁹ s⁻¹、問 2 は 0.90、問 4 は k_ET 2.0×10⁸ s⁻¹、Φ 0.25、τ 2.5 ns。 時間が足りなければ:問 2 を削る。
時間: 2 分 言うこと:概算の箱:k_bg は k_nr の約 1/20 なので、引いてもほとんど変わらない。 見せ方:右の列は動く式。問いの図(電子移動の分が ?)の下に、k_ET の式、代入、1.8×10⁹。続いて割合の分数、1.8×10⁹/2.0×10⁹、答えで 0.90 が出て、図が完成版に替わる。 言うこと:帯の 1 列が 10⁸ s⁻¹。行き先の数の比は速度定数の比そのもの。100 個のうち 90 個が電子移動を経て戻る。 言うこと:問 1 は、F 単独より増えた k_nr の分を、電子移動とみる(k_bg は F と同じ、という問題文の前提)。 つまずき所:割合の分母で k_nr と迷う。分母は全体の速さ(k_r + k_bg + k_ET = 1/τ)。
時間: 1.5 分 見せ方:右の図は問いの図(D–F* と D•⁺–F•⁻ の G の放物線と、D の障壁)。「酸化電位が高い D′ では、D•⁺–F•⁻ の放物線が上がる」と指で描く。答えのあと → で、D′ の放物線(破線、−30 から −15 へ上げた)と D′ の障壁が入った図に替わる。 言うこと:酸化電位が高い D ほど電子を手放しにくく、D•⁺–F•⁻ の G が高い。電子供与性が低い、と言う。−15 は E_ox 約 +0.96 V に当たる。 言うこと:これは予測。前提が崩れたらどうなるかを、あとの動く図で見る。 言うこと:聞かれたら、障壁は 7.8 → 13.2 kJ/mol、k_ET は約 0.11 倍(約 1/9。問 4 の「1/9」はこの概算)。 つまずき所:駆動力と速さの向きを逆に覚えていて、電子供与性の高い D を選ぶ。完成版の図で、−ΔG° が小さい D′ ほど交点が高いことを指す。
時間: 1.5 分 言うこと:概算の箱:電子移動 18 を 1/9 にすると 2。全体は 1 + 1 + 2 = 4 で、D–F の 20 の 1/5。Φ も τ も 5 倍、と見込ませる。 見せ方:右の列は動く式。問いの図(D′–F の粒が ?)の下に、Φ と τ の式、k_ET の 1 行、全体の速さが分母に入り、答えで 0.25・2.5 ns が出て、図が完成版に替わる。 言うこと:粒で見ると、光るのが 5 個から 25 個に増えた。紫(電子移動)がまだ 50 個残るので、F 単独の 50 個には届かない。
時間: 1.5 分 見せ方:列が 1 つ増えた。観測は電位と励起エネルギーの値、推測は演習 A の問 1 と問 3。どちらも前提つき。 言うこと:λ は測っていない。80 は仮定。 言うこと:未確定の「本当に通常領域か」が崩れるとどうなるかを、次の動く図で見る。確かめる方法はその次のスライド。
時間: 3.5 分 言うこと:演習 A の問 3 の向きが、λ を変えるとどうなるかを見る。式は第 6 回のマーカスの式。D–F の点は演習 A の 1.8×10⁹ s⁻¹ に合わせ、D′–F(−ΔG° 15)を予測する。 見せ方:まず「λ = 80」。D–F は通常領域で、D′–F の光る数は 25 個(演習 A の問 4 と同じ。τ 2.5 ns)。 見せ方:次に「λ = 20」。同じ D–F の 5 個のまま、D–F は逆転領域に入り、D′–F は約 4 個に減る(Φ 0.035、τ 0.35 ns)。曲線の頂点の位置を指す。 言うこと:同じデータ、同じ改変でも、λ が違えば向きが逆になる。入れ替わる λ を式で求めるのは発展 3。 問いかけ:設計の向きを決めるのに、何が分かっていなければならないか、と問うて次のスライドへ。ボタンを触ったあとは、図の外をクリックしてから次へ進める。
時間: 2.5 分 言うこと:前のスライドの問いの答え。λ と駆動力の大小、つまりどちらの領域かが分かっていなければならない。設計の向きは、通常領域という前提があって初めて決まる。 見せ方:図:駆動力 30・25・20・15 kJ/mol の 4 種の D の k_ET を並べた。まだ作っていない分子の予測。右端の D–F は同じ点。右へ駆動力が大きい。λ 80 と仮定すると上がり続け(橙)、λ 20 と仮定すると 20 まで上がってから下がる(紫)。 言うこと:並びの形で分かる:上がり続ければ通常領域、途中で向きが変わればそこが −ΔG° ≈ λ。 言うこと:駆動力の違う D を数種類作る案は、「次に作る分子」の候補にもなる(一つの改変に賭けない)。
時間: 2.5 分 言うこと:系列を作るには合成が要る。その前に、手元の D–F で仮説の予測を試せる:D の N を H⁺ でふさぐ。 見せ方:左上の棒:プロトン化した D–F は 0.45・4.5 ns(すべてプロトン化した状態で測った)。左下の構造:N の電子対に H⁺ が付き、電子を渡す電子対がふさがる。 言うこと:プロトン化した D は電子供与性が低い。 見せ方:右の図:電位のデータと同じ段。灰の段がプロトン化した D の電荷分離の状態で、D–F* の 242 より上に来る。値は測っていない。電子移動はほとんど起こらなくなる。 問いかけ:データは予測と合う。では、電子移動が機構だと決まるか(演習 B へ)。
時間: 6 分 見せ方:個人で 5 分解かせてから答えのスライドへ。右の図は問いの図(上:F と D–F の速さの内訳。プロトン化した D–F の行が ?。下:測った D–F の F* の発光の減り(0.5 ns)。電子移動なら、ほかに何が現れるか)。 見せ方:問 2・問 3 には選んで判定するボタンがある(投影の HTML でだけ出る)。解く時間が終わってから、手を挙げさせた答えを押して見せ、答えのスライドへ進む。 言うこと:問 1 は入り口(第 7 回の式)。問 2 は「確定した」と言えるか。問 3 は判別の測定の選択。(a) は、短いパルスの光で励起し、そのあとの吸収の変化を時間を追って見る測定。 言うこと:答えの値:問 1 は 2.2×10⁷ s⁻¹(k_r 1.0×10⁸、k_nr 1.22×10⁸ s⁻¹)。
時間: 1.5 分 言うこと:概算の箱:Φ も τ も F(0.50・5 ns)の 9 割。同じ割合で縮むので、k_r = Φ/τ は F と同じ。 見せ方:右の列は動く式。問いの図(プロトン化した D–F の行が ?。破線は F の右端)の下に、式、0.45/4.5 ns、0.55/4.5 ns、F と比べる段。答えで差 2.2×10⁷ が出て、図が完成版に替わる。 言うこと:D–F の 19 から、プロトン化で 1.22 までほぼ戻ったが、F の線より 0.22 はみ出す(Φ 0.45 は 0.50 に届かない)。はみ出しを電子移動と読むかは、ここでは決めない(紫にしていない)。
時間: 1.5 分 見せ方:右の図は問いの図(「D をプロトン化」から (i) 電荷分離の状態の G が上がり電子移動が遅くなる、の枝だけ。(ii) は「ほかの説明は?」)。「ほかに何が変わりうるか」と聞く。答えのあと → で、(ii) 構造や F 自身の無放射過程が変わる、の枝が入った完成版に替わる。どちらの枝からも同じ「Φ・τ が戻る」に着く、と指す。 言うこと:データに合うことと、ほかの説明を消せたことは別。プロトン化した D–F の内訳は、次のスライドで見る。 時間が足りなければ:答えと完成版の図だけを見せる(0.5 分)。
時間: 2 分 見せ方:上の図:プロトン化した D–F の k_nr 1.22×10⁸ s⁻¹ を、二通りに分ける。F 自身の分は F と同じなら:電子移動が 0.22×10⁸ s⁻¹ 残る。粒では 10 個。F 自身の分がプロトン化で増えたなら:電子移動は 0 個。 言うこと:どちらでも 45 個が光る。プロトン化した D–F の内訳も Φ と τ では決まらない。後者でも D–F の暗さが電子移動である可能性は残る。D–F の暗さが電子移動かは、電荷分離の状態を見ないと決まらない。 つまずき所:0.45 は 0.50 に完全には戻っていないので、電子移動が 0 になったとは言わない。k_nr の差を電子移動の速さと読むには、F 自身の無放射過程が同じという追加の仮定が要る。 見せ方:下の箱:プロトン化のデータの整理。未確定が残る。では何を測るか(次のスライド)。
時間: 1.5 分 見せ方:右の図は問いの図(測った D–F の F* の発光の減り。0.5 ns の印)。「電子移動なら、この図に何が加わるか」と聞く。答えのあと → で、D•⁺・F•⁻ の吸収(紫)が加わった図に替わる(模式。仮説の予測)。F* が減る速さで現れるはず。二つの曲線の高さは比べない。 言うこと:D•⁺ と F•⁻ には、それぞれに固有の吸収帯がある。紫の減り(電荷が戻る速さ)は測っていないので、遅い場合を描いている。戻りが F* の減りより速いと、電子移動が起きていても見えない。 言うこと:ほかの候補(口で。時間が足りなければ省く):駆動力の違う D をいくつか作り、k_ET の並びがマーカスの式に合うかを見る。溶媒の極性を変える。 つまずき所:吸収の強さは k_r の確かめ(第 7 回)、濃度を変えた量子収率は分子間の過程の確かめで、この仮説の判別には向かない。 見せ方:最後に下の要点の一行が出る。読み上げて、次の研究の実例がこれを実際に行った、とつなぐ。
時間: 1.5 分 言うこと:演習 B の問 3(電荷分離の状態を時間分解の吸収で測る)を、実際に行った研究。 見せ方:図:9-(アミノメチル)アントラセン(H⁺ なし・あり)。アミンに H⁺ が付くと光る。今日の D–F と同じ形。 言うこと:1985 年の原理:プロトン化したアミンは蛍光団へ電子を渡せず、蛍光が戻る。光誘起電子移動(photoinduced electron transfer)の頭文字が PET。 言うこと:明るさや寿命は、無放射過程が速いことしか示さない。電子が移った状態そのものを見て、初めて直接の証拠になる。 言うこと:Miura ら(2003、フルオレセイン型のプローブ)は、両側のラジカルイオンをレーザーフラッシュ光分解(時間分解の吸収)で直接観測し、駆動力を変えた系列で電子移動の速さがマーカスの式(第 6 回)に合うことを示した。 言うこと:聞かれたら、図の R は 1985 年の化合物のアミンの置換基(ここでは示していない)。 時間が足りなければ:図と 1 つ目の箇条だけを言う(1 分)。
時間: 2 分 言うこと:冒頭の予想の答え合わせ:D–F では k_r は同じで、k_nr が 19 倍(例題)。 言うこと:1 は外れる:量子収率は吸収した光子あたりの割合なので、吸収する光子が減るだけでは下がらない。しかも吸収スペクトルはほぼ同じ。 つまずき所:2 は「暗い=光を出す速さが小さい」と読む答え。2 を選んだ人が多ければ、第 7 回の「明るさの増加を k_r の増加と読まない」に戻る。 言うこと:答えの文:次に作るのは、電子供与性の低い D′ をつないだ D′–F(駆動力を変えた数種類)。設計の向きは、通常領域と F 自身の無放射過程が同じという前提のもとでの予測なので、電荷分離の状態を時間分解の吸収で確かめ、駆動力と λ を見積もってから選ぶ。
時間: 1.5 分 見せ方:図の 3 列(発光、電位、プロトン化)を、観測・推測・未確定の順に上から指し、下の行(作る・測る)で問い 1 に答える。 言うこと:設計の向きは前提のもとでの予測であることを、最後の行で繰り返す。
時間: 1 分 言うこと:表の節と発展の箱は、自習で読む所。 言うこと:§9.9 は、第 4 回の例題を今日と同じ進め方で読み直す短い節。
時間: 2.5 分 見せ方:最終回のふり返り。第 I 部(青):構造・集団・環境、第 II 部(橙):核と電子の移動から反応へ、第 III 部(緑):光・触媒・設計。 言うこと:各回の問いを一つずつ指して、「どのモデルを、どんな前提で使ったか」を一言ずつ。第 1 回の問い「安定であることと、変化しにくいことは同じか」に戻り、今日も同じ考え方(比べる状態と基準、前提)で進めたことを言う。 言うこと:前提が崩れる所が、次の測定と設計の手がかりになる。今日の例:通常領域の前提が崩れると設計の向きが逆になることがあり、F 自身の無放射過程の前提が崩れると電子移動の見積もりが変わる。
言うこと:本編で前提が崩れる例(λ が小さいと設計の向きが逆、F 自身の無放射過程の仮定で電子移動の見積もりが変わる)を扱ったので、この表はまとめ直し。時間があれば使う。 言うこと:教科書第 9 章の「モデルの前提と適用条件」と同じ。
言うこと:光誘起電子移動の自由エネルギーは、基底状態の酸化還元電位だけでは求まらず、励起エネルギーや静電相互作用の項も要る。励起エネルギーの分だけ電子移動が起こりやすくなる。 言うこと:96.5 kJ/(mol·V) はファラデー定数を kJ の単位にした値。この回では F を蛍光団の名前に使うので、字にしていない。 言うこと:聞かれたら、この式を「Rehm–Weller の式」とは呼ばない(その名前は消光の速さの相関式のもの)。 言うこと:w は溶媒と距離に依存する(極性の高い溶媒では小さい。第 3 回のボルンの式と同じ考え方)。
言うこと:(λ − 30)² = (λ − 15)² を解くと λ = 22.5。λ 23〜29 では D–F は逆転領域なのに、D′ で遅くなる。D–F が通常領域なら、必ず D′ のほうが遅い(確かな側の条件)。 見せ方:「λ = 80」、つまみで λ を下げる、「λ = 22.5」(D と D′ の点が同じ高さ)、「λ = 20」。つまみ・ボタンを触ったあとは、図の外をクリックしてから次へ進める。 言うこと:D–F の点は演習 A の 1.8×10⁹ s⁻¹ に合わせ、λ ごとに k_max を決め直している。