光をプリズムで波長ごとに分けたときの見え方。(a) 白熱電球、(b) ナトリウムの炎、(c) 水素の放電管。数字は波長(nm)
準位の差
次回の問い:なぜ準位はとびとびか(第 2 回で答える)
前提 光は波(干渉の縞:ヤングの実験)。波が運ぶエネルギーは明るさ(振幅)で決まる
| 試したこと | 光が波なら(予想) | 実験の結果 |
|---|---|---|
| 光を強くする | 電子 1 個のエネルギーが増える | 変わらない(増えるのは電子の数) |
| 振動数の低い光を、強く当てる | いずれ電子が出る | どれだけ強くしても出ない |
| 振動数を上げる | 関係ないはず | 電子 1 個のエネルギーが増える |
波の考えでは説明できない。光のエネルギーは、どう受け渡されているのか
破線:波の予想 実線:実験。縦軸は電子 1 個のエネルギー、横軸は (a) 光の強さ
① ためられない (b) 振動数が低いと、強く・長く当てても 0 → 一度に受け取る量で決まる
② その量は振動数で決まる (b) 右上がり、(a) 強さでは横ばい → かたまり 1 個 =
③ 強さ = かたまりの数 強くすると増えるのは電子の数 → 数えられるかたまり = 粒(光子)
① eV に直す
② 1 mol あたり
③ 化学と比べる 結合エネルギーと比べる → Cl–Cl 結合のエネルギー(約 240 kJ/mol)と同じ
①
光子 1 個のエネルギー(下:eV、上:kJ/mol)。帯は光の波長域(赤外・可視・紫外)、橙の破線は化学結合 1 本を切るエネルギー
注意:「とびとび」は二つある。白熱電球の虹も光子でできている(光子のエネルギーが帯のように連続に並ぶ)。水素が線になるのは、原子の準位がとびとびだから
1 光子 1 個のエネルギー
2 ① 光子 1 個
2 ② 1 mol あたり × 96.5:
3 準位の差
要点:光はエネルギー
仮説(ド・ブロイ、1924)光は波なのに粒でもあった。それなら、粒の電子も波ではないか
運動エネルギーは運動量で書ける:
運動量
金箔に電子線を当てて撮った写真。中心はまっすぐ通り抜けた電子、まわりの同心円の縞は、小さな結晶で回折した電子
写真: J.-J. Trillat, "Diffraction of electrons on microcrystallitic crystals or powders; beaten gold", Wellcome Collection, CC BY 4.0(Wikimedia Commons)
設定 電圧
① 電子のエネルギー
② 運動量
③ 波長
①
1 ① エネルギー
1 ② 運動量
1 ③ 波長
2
要点:電子の波長は原子の大きさと同じ 0.1 nm 程度。電子は波として扱う
問い 2:電子が波なら、その波は何を表すのか
弦の定在波(高校物理)は、位置
両端を固定した範囲の定在波(
上:
二乗すると符号が消え、
| 見方 | |
|---|---|
| 化学 | 電子密度:電子の雲の濃さ |
| 測定 | 確率密度:電子を見つける確率 |
電子を 1 個ずつ打ち出し、届いた位置を記録する
100 個通したときの予想(スクリーンを正面から見た図)
電子を 1 個ずつ二重スリットに通したときのスクリーン(模式)。点 1 つが電子 1 個。(d) は限りなく増やした極限と
| 波として見る | 粒として見る | |
|---|---|---|
| 光 | 明るさ = 振幅の 2 乗 | 明るさ = 届く光子の数(光電効果) |
| 電子 | 振幅 = |
見つかる数 ∝ |
二つのスリットを通った波
水素原子の電子の位置を測った記録。(a) 100 回、(b) 1000 回、(c) 回数を限りなく増やした極限。点 1 つが 1 回の測定
1 電子雲の濃淡は電子密度 =
2 ① 見つかりやすさは
2 ② b の
要点:電子の見つかりやすさは
炎の写真: Hegelrast, "Coloured flames of methanol solutions of metal salts and compounds", Wikimedia Commons, CC BY-SA 4.0
解ける模型 → 軌道近似 → 変分・LCAO → ヒュッケル法と近似を重ね、第 II 部の HOMO–LUMO ギャップへつながる
核心 電子を閉じ込めると、なぜ準位がとびとびになるのか(今日の線スペクトルの問い)
今日の復習 演習 A〜C を解き直す。小テスト第 1 回を受ける
次回の予習 三角関数・微分の基礎、とくに合成関数の微分(教科書 付録 A.1)。教科書 §1.3 の定在波の段落と後半、§2.1 に目を通す