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TEXTBOOK

量子化学

応用化学・材料・工学系の学生に向けた量子化学の教科書です。全 2 部 14 章の全文を、PDF で無償公開しています。

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第 0.10.0 版 ・ 2026年9月21日

量子化学

山本 典史 著 ・ A4 判 370 ページ

千葉工業大学 応用化学科の講義「量子化学1・2」のために書いている教科書です。講義に合わせて改訂を続けていて、この場所にはいつも最新の版を置きます。

どんな本か

「なぜこの分子はこの色なのか」「なぜこの結合は強いのか」「なぜ反応はこう進むのか」。こうした問いの底には、いつも分子のなかの電子がいます。電子のふるまいを暗記ではなく仕組みから理解し、手元の計算で予測できるようになることが、この本の目標です。数学的な形式の厳密さよりも、分子や材料について何が言えるかを重んじて書いています。

解ける模型から、一段ずつ

箱の中の粒子と調和振動子から始めて、原子軌道、化学結合、変分法、分子軌道、ヒュッケル法へ。近似を一段ずつ足しながら、現実の分子に近づきます。

一本の物差しで読む

後半は共役π系に的を絞り、HOMO–LUMO ギャップという一つの物差しで、芳香族性・反応・色・伝導・材料設計を読み解きます。

図と数式の両輪

軌道の形や準位の並びをまず図でつかみ、その直感を式で確かめます。概念図と、数値から起こしたデータ図をあわせて約 150 点。

途中式を省かない

主要な結果は本文で導出を追い、例題は途中式まで示します。章末問題と総合演習には、巻末に略解を付けました。数学の道具は付録にまとめています。

図の見本

一次元の箱に閉じ込めた粒子の波動関数と確率密度(第 2 章)
水素原子の動径分布関数と 2p 軌道の確率密度(第 3 章)
エチレンからポリアセチレンへ。鎖を伸ばすと HOMO–LUMO ギャップが縮む(第 II 部のまとめ)

目次

第 I 部

原子・分子の電子構造

  1. 1量子論とシュレディンガー方程式
  2. 2箱の中の粒子と調和振動子
  3. 3原子軌道と確率密度
  4. 4多電子原子とスピン
  5. 5化学結合と LCAO 近似
  6. 6変分法と永年方程式
  7. 7二原子分子の MO ダイアグラム
  8. 8ヒュッケル法

講義スライド:量子化学1

第 II 部

共役π系の反応・物性・設計

  1. 9共役π系とヒュッケル分子軌道
  2. 10芳香族性
  3. 11フロンティア軌道とペリ環状反応
  4. 12共役π系の光吸収と色
  5. 13共役π系のバンド構造と伝導性
  6. 14機能性π電子系の分子・材料設計

講義スライド:量子化学2

各部の終わりに、まとめと総合演習があります。巻末には、付録 A(数学的準備)、付録 B(記号・物理定数一覧)、演習問題の略解、参考文献、索引を収めています。

利用について

  • 学習と教育のために、どなたでも無償で閲覧・ダウンロード・印刷できます。
  • 授業や勉強会で紹介するときは、PDF のファイルを配らずに、このページ(https://yamlab.jp/books/quantum-chemistry/)を案内してください。改訂を続けているので、読む人がいつも最新の版にたどり着けます。
  • 著作権は著者が保有しています。著者の許可なく、再配布・転載・改変・販売することはできません(著作権法が認める引用を除きます)。
  • 引用するときは、版番号を添えてください。
  • 誤りや説明の不足を見つけたら、こちらからお知らせください。次の版で直します。

改訂履歴

0.10.0 ・ 2026-09-21
第 8 章にヘテロ原子を含む π 系の節と例題(C=N)を追加。第 1 章の光電効果、第 5 章の反結合性軌道、第 7 章の σ 骨格と π 系の分離の説明を補足。第 2 章・第 6 章・第 11 章の表現を修正。
0.9.1 ・ 2026-09-21
第 1 章 §1.1 に、線スペクトルの説明として電子の励起の記述を追加。第 2 章の縮重が解ける説明、第 6 章の変分原理の説明(エネルギーの低い試行関数ほど基底状態エネルギーの良い近似)、第 11 章の反応点の説明の表現を修正。
0.9.0 ・ 2026-09-21
全 14 章の初稿を公開。