TWIN CALCULATORS
双子の計算術士
「計算化学」を、双子の計算術士、兄のテオと妹のテラとして擬人化しました。向かって左の兄テオは量子化学・理論化学を、右の妹テラは分子動力学・機械学習を担当します。同じ計算化学でも対照的な二つの性格を、衣装や持ち物、使役する精霊にモチーフとして散りばめてもらいました。

Illustration by 揚げ鶏々(サイエンスイラストレーター)
テオ
兄CPU量子化学・理論化学寒色系Theo — Theoretical(理論的)に由来|称号「真理の織り手」

孤高で、精密。ひとつの分子と静かに向き合う。
教科書に数式と幾何学的な図が並ぶ、抽象的で伝統的な分野。ひとつの分子(孤立分子)の中の電子のふるまいを精密に解き明かします。クールで静的、繊細で秩序だった空気をまとっています。
使役する精霊:フクロウの賢者(古の精霊・CPU型)— 賢く、孤高に。
01
波動関数の杖 — Ψ
手にした杖は、量子力学で電子の状態を表す波動関数の記号「Ψ(プサイ)」。理論化学のいちばんの土台です。
02
モノクル(片眼鏡)
精密さの象徴。ひとつの分子を細部まで見つめる、理論家のまなざしを表しています。
03
p 軌道・d 軌道
衣装に散らした原子軌道のモチーフ。左右で位相(符号の塗り分け)が反転する、電子の分布の形をかたどっています。
04
六角形・スピン・波
ベンゼン環を思わせる六角形、電子スピンを表す ↑↓ の矢印、電子の波動性を表す波。目立ちすぎない、専門家のこだわりです。
テラ
妹GPU分子動力学・機械学習暖色系Thera — Thermal(熱的)に由来|称号「流転の予言者」

華やかで、躍動的。たくさんの分子と、その動きを追う。
量子化学より新しく、いままさに注目を集める分野。集合体や生体分子など、多数で大きなものの「動き」を扱います。柔らかく曲線的で、明るく楽しい華やかさが持ち味です。
使役する精霊:光の鳥の大群(群の精霊・GPU型)— たくさんを、いちどに。
01
α-ヘリックスの縦ロール
タンパク質の二次構造 α-ヘリックスをかたどった髪型。分子動力学がよく扱う生体分子の象徴です。
02
β-シート — ↓↑
逆平行に並んだ2本の矢印は、もうひとつの二次構造 β-シート。α-ヘリックスと対になるモチーフです。
03
砂時計
時間とともに移り変わるものの象徴。分子動力学が扱う時間発展、つまり刻々と動く分子の世界を表しています。
04
バネ・軌跡・ネットワーク
分子力場を表すバネ、分子が動き回る複雑な軌跡のライン、機械学習が分子を読むときのネットワークグラフ。
05
分布図と立体構造
PCA の2次元散布図、t-SNE / Swiss roll の3次元の渦巻き、リボン表示のタンパク質立体構造。データと構造の華やかさをまとっています。
使役する精霊(演算精霊)
計算術士は、計算リソースが姿をとった「演算精霊」を使役して計算します。精霊には3つの種族がいて、二人はそれぞれ違う種族と契約しています。
Old Ones — CPU
古の精霊
兄テオの相棒:フクロウの賢者
一体がきわめて賢く、複雑な計算をひとつずつ確実にこなす少数精鋭。急がず、間違えない。そのぶん、精密な計算ほど大きな対価を求めます。契約は「対話」で結ばれ、純粋な「知りたい」という好奇心をいちばん高く評価するそうです。
Swarm Ones — GPU
群の精霊
妹テラの相棒:光の鳥の大群
個々は単純でも、数千、数万の群れが同時に働く物量の使い手。「すべての原子に同じ法則を当てはめる」ような反復計算が得意です。群れ全体でひとつの意志を持ち、契約は術士との「共感」で決まります。
Void Ones — QPU
虚の精霊
まだ誰も使役できていない
重ね合わせ状態のまま、膨大な可能性をいちどに探る量子コンピュータの精霊。わずかな外乱で崩れてしまう繊細な存在で、完全に使役できた術士は歴史上いません。イラストに姿がないのは、まだ誰にも観測されていないからだそうです。
二人に共通するモチーフ
足元のポテンシャル面
床に広がる波打つグリッドは、分子のエネルギーの地形「ポテンシャルエネルギー面」。計算化学は、この地形の谷や峠を探る研究です。二人に共通する舞台になっています。
透明キューブの中の分子
宙に浮かぶ透明な箱に収められた分子。コンピュータの中で分子を観るという、この研究室そのものを表しています。

