ゴムや高分子、多孔質材料といった機能性材料の性質は、分子スケールの構造で決まります。私たちは分子動力学シミュレーションと量子化学計算に機械学習を組み合わせ、材料の物性を予測しながら、望みの性能をもつ材料の設計を目指します。合成する前に計算で当たりをつけることで、材料開発にかかる時間を大きく縮めます。
二酸化炭素をつかまえる
二酸化炭素をどう減らすかは、気候変動対策の大きな課題のひとつです(国連が採択したSDGs、持続可能な開発目標にも掲げられています)。ここで役立つと期待されているのが、ゼオライトや金属有機構造体(MOF)といった、無数の小さな穴をもつ多孔質材料です。穴の形をうまく選ぶと、気体の混合物から二酸化炭素だけを吸着して取り出せます。私たちは分子動力学シミュレーションで、どんな細孔構造がよく効くのかを比較し、分離技術の基礎を調べています。
一部の柔軟なMOFは、ガスが少ないと孔を閉じ、圧力が高まると開きます(ゲートオープニング)。この動きが高い分離性能の鍵と考えられますが、孔を動かす分子レベルの駆動力にはまだ謎が残ります。MOFは2025年のノーベル化学賞(北川進先生ら)の対象にもなった材料です。
企業との共同研究
ゴムや高分子など、実際の材料への応用も進めています。横浜ゴム株式会社をはじめとする企業や大学と共同で、材料の物性を分子のレベルから予測し、開発の現場につなげています。
ゴムを丈夫にする化学
天然ゴムは、硫黄で高分子鎖のあいだを橋渡し(加硫)して初めて、タイヤに必要な強度と弾力をもちます。硫黄はふだん8個がつながった環(S₈)ですが、加硫ではこの環が切れて、鎖と鎖をつなぐ架橋になります。どの結合が有効な架橋になり、反応の途中でどう組み替わるのか。実験では追いにくいこうした途中経過を、化学反応を扱える計算手法で解析します。
こんな人に
資源やエネルギー、環境問題に関心がある人、あるいは機能性材料の研究開発に携わってみたい人に向いているテーマです。
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💡光化学チーム
光と分子の相互作用を探る