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TEXTBOOK

分子設計

化学専攻の学部 3 年生に向けて、分子の構造と物性のデータから、候補の分子と次に確かめる実験を考える教科書です。全文を PDF で無償公開しています。

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第 0.2.9 版 ・ 2026年11月3日

分子設計

山本 典史 著 ・ A4 判 169 ページ

3 年後期の講義「分子設計」のために書いている教科書です。序章と第 1 章が授業の第 1 回、第 2〜6 章がそれぞれ第 2〜6 回に対応します。講義に合わせて改訂を続けていて、この場所にはいつも最新の版を置きます。

どんな本か

研究室で「次に何を合成し、何を測るか」を決めるとき、手元のデータからどこまで言えるでしょうか。似た分子の値を借りる、構造と物性の傾向を式にする、予測を記録してから資料値と照らす、確かめていない範囲を書き分ける。アルコールの沸点と水溶性という身近な題材で、データから分子を設計する考え方を一歩ずつたどります。プログラミングは前提にしません。

一つの依頼を 6 回で進める

「1-ペンタノールに代わる、水に溶けやすい溶媒の候補を探してほしい」という架空の依頼を、データを整える・構造を数にする・似た分子から予測する・式で予測する・確かめる・提案する、の順に 6 回で進めます。

予測を記録してから確かめる

予測は資料値を見る前に記録し、あとで資料値と照らします。1 つの分子で合ったことから「最良」と言わない、平均の誤差を誤差の上限と読まない、など、データから言えることの範囲を毎回確かめます。

資料値・予測値・架空値を分ける

実在の分子の値は出典を示した資料値だけを使い、予測値・練習のための架空の値と色と言葉で区別します。式や統計は、四則演算・平均・一次式・散布図の範囲にとどめています。

自分の研究へ移す

各章の終わりに、合成・材料・分析などの研究で、何を似ているとするか、どの条件をそろえるか、次に何を測るかを考える問いを置きました。実際のケモインフォマティクスの手法との対応も短く紹介します。

図の見本

直鎖の一級アルコール 4 分子の炭素数と沸点(資料値)。観察と仮説を分けて読む(第 1 章)
1-ブタノールに似ているのはどちらか。何の違いを重く見るか(重み)で、最も近い分子が入れ替わる(第 3 章)
資料値のある分子の記述子の組み合わせ。式を使ってよい範囲は、列ごとと組み合わせの両方で見る(第 5 章)

目次

序章 分子を設計するとはどういうことか

  1. 1設計に使うデータを整える
  2. 2分子構造を数値で表す
  3. 3似た分子から物性を予測する
  4. 4データから予測式を作る
  5. 5予測を確かめ、信用できる範囲を考える
  6. 6分子候補と次の実験を提案する

巻末には、付録 A(計算とグラフの読み方)、付録 B(用語集)、付録 C(理解確認問題と総合問題)、付録 D(演習の参考解答)、付録 E(記録の例)、付録 F(資料と出典)を収めています。各回の講義スライドは、分子設計の科目ページにあります。

利用について

  • 学習と教育のために、どなたでも無償で閲覧・ダウンロード・印刷できます。
  • 授業や勉強会で紹介するときは、PDF のファイルを配らずに、このページ(https://yamlab.jp/books/mdes/)を案内してください。改訂を続けているので、読む人がいつも最新の版にたどり着けます。
  • 著作権は著者が保有しています。著者の許可なく、再配布・転載・改変・販売することはできません(著作権法が認める引用を除きます)。
  • 引用するときは、版番号を添えてください。
  • 本書の実在の分子の値は、出典を示した資料値です。例題・演習の「架空」と書いた値は、計算の練習のために作った教材用の値で、実在の分子の測定値ではありません。
  • 誤りや説明の不足を見つけたら、こちらからお知らせください。次の版で直します。

改訂履歴

全 11 件
0.2.9 ・ 2026-11-03
第 6 章の演習を授業の流れにそろえて演習 3 を 2 つに分け、例題に確かめる値の選び方を追加。「確かめ済み」を「確かめたことになる」、「判断を変えうる点」を「判断を変える値」、「丸い」を「枝が多い、OH が内側」などに変更。
0.2.8 ・ 2026-11-03
第 5 章の演習を授業の流れにそろえて演習 2 を 2 つに分け、2-ペンタノールの予測と資料値の図を追加。「調整しすぎ」を「過学習」、単独の「参照」を「参照分子」などに変更。
0.2.7 ・ 2026-11-03
第 4 章の演習を授業の流れにそろえて演習 3 を 2 つに分け、「見落とす」を「表していない」、「物差し」を「基準」、「混み合う」を「立体障害」などに変更。
0.2.6 ・ 2026-11-02
第 3 章の演習を授業の流れにそろえ、「値を借りる」を「値を使う」、「支持する」を「採用する」、「跳ぶ」を「急に変わる」などに変更。
0.2.5 ・ 2026-11-02
第 2 章の演習を授業の流れにそろえ、「抜け落ちる」を「表せない違い」、「混み合い」を「立体障害」などに変更。
0.2.4 ・ 2026-11-02
用語を見直し、「案」を「候補分子」、「箱」を「分類」、「量る成分」を「溶質」、「範囲の型・下限の型」を「範囲の条件・下限の条件」などに変更。
0.2.3 ・ 2026-11-02
「はじめに」を追加。第 1 章の比較できるデータの節に、水相とアルコール相の値の違いと照らす 4 点の読み方を追加。
0.2.2 ・ 2026-11-01
書名を『分子設計』に確定。奥付に、公開ページの URL と利用の条件を追加。
0.2.1 ・ 2026-11-01
第 4 章で、係数の向きの化学的な説明が仮説であることを明記。第 5・6 章で、適用範囲の組み合わせの見方(s と b、炭素数まで含めた見方)を補足。
0.2.0 ・ 2026-11-01
序章と第 1〜6 章の図・説明・演習の解答を見直し、記号(重み α)と用語(適用範囲・水溶性の単位など)をそろえ、誤りと言い過ぎを修正。
0.1.0 ・ 2026-10-08
プロジェクトの雛形を作成。