
「化学の研究」と聞いて、どんな姿を思い浮かべるでしょうか。白衣を着て、フラスコに薬品を入れて振り、色が変わるのを見つめる人かもしれません。
けれども、化学の研究室には、一日の多くをパソコンの前で過ごす人もいます。画面の中で分子を動かし、分子の中の電子を計算し、まだ作っていない分子の性質を予測しています。 この本は、こうした計算化学という分野への招待です。
この本で見ていくのは、コンピュータが何をしているかです。コンピュータに何を渡し、何をくり返させ、何が返ってくるのか。その結果は、どこまで信じてよいのか。 天気予報、水と油、光の色、薬、二酸化炭素を吸着する材料を例に確かめます。
プログラムを書いたことがなくても、計算のソフトにさわったことがなくても読めます。この Web 版は、PDF 版の文を短くし、動く図といっしょに読めるようにしたものです。
案内役のテオとテラ
この本の案内役は、「双子の計算術士」の兄テオと妹テラです。計算化学の 2 つの方向を、双子の術士に見立てたキャラクターです。
テオ兄
称号「真理の織り手」

ひとつの分子の中の電子を、精密に計算する。
案内:第 2 章・第 4 章
「何を計算させ、答えが正しいかを判断できるのは、化学が分かる人だけだ。」
テラ妹
称号「流転の予言者」

たくさんの分子の動きと、データを追う。
案内:第 1 章・第 3 章・第 5 章
「コンピュータの中にも『実験室』があるんだよ!」